第21話
ホバーを引きずりながら帰るとメンテが僕に抱き着いた。
「お手柄だよ! これ動くよね?」
「多分」
「引きずっちゃって少し傷がついてはいるけど」
「そこはごめん」
引きずるとは思ったけど一刻も早く人殺しの現場から立ち去りたかった。
「いいよ、動くなら分解して解析して組み直そう」
「だ、大丈夫? メンテ、疲れてない?」
「今が頑張りどころだよ」
メンテは転生してからエナジーポーションを飲んでダウンした後休んでいない気がする。
「無理はしないでね」
「それで、ブルーモード、使ってしまったんだ」
「うん、大丈夫」
「……あれ? サンは?」
「魔力酔いで休んでいるよ。今は休ませてあげて」
「そ、そっか」
メンテの言い方に少し引っかかったけど、あまり言わない方が良いんだろう。
「ナリユキ殿、これから王都に向けて出発します」
「え? 防衛はいいのかな?」
「下手に防衛戦力を残しても無駄な犠牲が出ます。それよりは無抵抗に降伏をした方が民の犠牲は出ません」
こうして王都を目指す事になった。
積みきれない魔装ゴーレムはトラックで王都に運ぶ。
訓練の為整備工房に向かうといつもメンテがいた。
いつ寝ているんだろ?
僕は会う人みんなに感謝された。
ピュアは皆に褒められてくるくると飛び回って喜んでいる。
僕はすっと気配を消してピュアから離れた。
それでもみんなが僕を褒める。
『ホバーを無傷で手に入れられて偉いです』
『その勇敢さ、私も見習いたいです』
『ハーフエッグが襲られる事を考えて騎士が乗り換える時間を稼ぐご英断、流石です。しかもすべて倒してしまうとは更に驚かされました』
「は、ははは、たまたまです。少しハーフエッグの中を散歩しますね」
褒められると調子に乗ってしまう。
でも、あんまり調子に乗ると駄目なんだよなあ。
日本で調子に乗って良い事は無い。
1人歩くとサンが1人で窓を見ていた。
「どうしたの?」
「……ウォーリアを壊してしまって、失敗しちゃいました」
「違う、頑張ってアイスキャットを助けに行ったんでしょ?」
サンが俯いた。
みんなはサンが活躍したと言っている。
ウォーリアはナイツと操作感が違うらしい。
サンは機体に恵まれず、魔力を消耗した状態でエースと戦った。
遠距離要員なのに接近されてそれでも戦えたサンは優秀だと思う。
でも、何を言っても無駄な気がした。
ただ、話を聞こう。
「私だけ、ウォーリアを壊してしまったんです」
「……」
「バウンドが迫って来て、怖くて、自分で杖を爆発させました」
「……」
僕は何も言わずサンの背中を撫でた。
「ナリユキさんは、優しいですね」
「そう、かな」
「……そうですよ」
ただ、サンの横にいて外の景色を眺めていた。
ピュアが飛んできた。
「空気を読もうか」
「大変なんだ」
「ピュアの言う大変は大体大変じゃないからね」
「本当に大変だよ! メンテが倒れたんだ!」
「すぐ行く!」
「私も行きます」
メンテが倒れていた。
「う、ううう」
「魔力酔いとエナジーポーションの飲みすぎです」
「え?」
「ええ?」
「エナジーポーション持って来てえ」
「ダメです」
「飲めば治るからあ」
「治りません。隊長を呼んできます」
ファインさんが来てすぐに言った。
「休息命令だ」
「えええ!」
「もし良ければ僕の部屋を使って、1人部屋だしさ」
「ナリユキはどこに寝るの?」
「椅子とか、床とか」
「それは、ダメだよ」
「いいからいいから」
メンテの口を塞いだ。
そして部屋に運んでベッドに寝かせて部屋の扉を閉める。
ハーフエッグの中はどこも快適だ。
訓練場所の横にシーツを持って来て包んで眠った。
◇
「すー! すー! すー!」
「ナリユキ君、おはよう」
「すー! すー!」
「ツンツン……ん、はう、ん、ちゅぷ、ん、はあむ」
スノーさんと、キスをしている夢を見た。
そして目を覚ますとスノーさんが僕に膝枕をしていた。
「ナリユキ君、おはよう」
「おはよう?」
「ねえ?」
「何です?」
「どうして私にだけ敬語なの?」
「……何となく?」
「メンテとサンは普通に話すのに」
「うん、敬語を使わなくていい?」
「うん」
スノーが笑顔を向ける。
その顔がとてもきれいだ。
でも、今だにスノーの事がよく分からない。
「ナリユキさん、おはようございます」
「おはよう」
「今日からまた頑張ります。訓練に付き合ってください」
サンが僕の手を引っ張る。
「私も、シテ」
スノーが逆側の手を掴んだ。
「そうだね、うん、訓練だよね? 僕と対戦でいい?」
「はい」
「うん」
今日も2人のバストを何度も揺らそう。
◇
何度も攻撃を当てて2人のバストを揺らした。
ゲームだと2人にダメージが来るほどの衝撃にならないのもいい。
その後はファインさんとも対戦してみんなとも対戦した。
騎士さんは魔装ゴーレムの数より多くいる。
僕はエッグに居座り対戦を続けた。
今日もいい日だった。
たっぷり眠れる気がする。
部屋に入る。
部屋の中には裸で服を脱いだメンテがいた。
「あ! ごめん」
急いで扉を閉める。
扉が開いた。
「大丈夫だよ、それよりも整備しに行っても入れてくれなくてね」
「だろうね」
「いっしょに、お風呂に行かない?」
「……」
メンテの顔を見た。
「嫌かな?」
「嫌じゃっ! 無いです!」
「うん、一緒に入るって意味だけど本当に嫌じゃない?」
「嫌じゃっ! 無いです!」
お風呂に行くとメンテがためらわず服を脱いでお風呂に入っていく。
ちなみに貸し切りだ。
僕もスライムスーツを解除してお風呂に入った。
横に並んで座り体を洗った。
やはり、メンテのバストも大きい。
「ナリユキのおかげで助かっているよ」
「……」
「このハーフエッグはね、みんなと一緒に僕が作ったんだ。でも魔装ゴーレムの材料が足りなくなりそうで解体する話も出ていたんだ」
「そう、なんだ」
メンテを見ていて思った事がある。
成功した機体は我が子のように愛着を持っている。
うまく出来たハーフエッグを解体してナイツの部品にするのは嫌なんだろう。
「うん、でも、解体しなくて良くなった。ナリユキの、希望の光があったから」
「……」
「所でね、洗い終わった?」
「終わった」
「一緒にお風呂にきて緊張してる?」
「うん」
「体力を回復させたいからセックスは出来ないけど」
「え、セックス、あ、出来ない、か、うん」
「ナリユキは気持ちよくなっていいと思う」
メンテが僕の股間を見つめた。
そして顔を近づけ僕の前で正座する。
メンテの手がゆっくりと股間に伸びた。
そして口を近づけてから上目遣いで僕を見た。
「器用さには自信があるけど、こういうの、いや、かな?」
「嫌じゃっ! 無いです!」
僕はメンテの器用なマッサージを受けた。
◇
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「れろ、はふん、ふうー、良かったかな?」
「はあ、はあ、凄く、良かった、です」
「安心したよ、もしも僕に時間の余裕が出来たら、ベッドの上で僕を好きにメンテナンスして欲しい。駄目かな?」
「駄目じゃっ! 無いです!」
僕は息を吸い込んだ。
「この国を救うから!」
「うん、救ってくれるなら僕は君の奴隷にだってなれるよ」
「ど、奴隷」
「本当だよ?」
メンテが上目遣いで僕を見上げた。
「やる気が出てきた」
「うん、何度でもデキる」
「何度、でも!」
「その時が来れば、最後までスルよ、何度でも」
「はあ、はあ、また、訓練しよ」
国を救えばメンテとスル事が出来る。
その日から更に訓練を頑張るようになった。
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