第7話

 シャトロクリムゾンが赤い光の魔法弾を放つ。

 そして接近してきた。


 僕は体に魔力を纏わせて左右にステップを踏む。

 3発魔法弾を受けた。

 魔法弾の威力が上がっている!


 構わず殴りかかるとジャンプで避けられた。

 そして上から魔法弾が降り注ぐ!

 腕をクロスさせて攻撃を受けた。


 横に飛んでシャトロクリムゾンの着地地点に迫る。


 騎士さんが驚きの声を上げる。


『お互いに何と言う威力だ!』

『シャトロクリムゾンもプロトナイツも動きが速すぎてついていけない! ナイツでは接近すら出来ないだろう』

『広い広場がこんなに小さく感じる』


 離れれば杖の魔法弾を受ける。

 接近しようとするとしても魔法弾の攻撃を受ける。

 シャトロクリムゾンの近くに接近すると斧を腕で受けた。

 その瞬間に左足で蹴りを繰り出してくる。

 蹴りの衝撃で僕は後ろに吹き飛び、シャトロクリムゾンは蹴った反動で後ろに下がった。

 そしてまた魔法弾が飛んでくる。


「くう!」

『魔装ゴーレムの性能は大したものだがやはり技量はまだまだか、それに魔法弾を撃てないようだ』


『ナリユキ殿は今日初めてプロトナイツに乗ったのだ! 今この瞬間にも成長している!』

『ナリユキ殿はスライムスーツ無しで我らを助ける為に駆けつけた! バカにするのはやめろ!』

『ナリユキ殿は5機以上のウォーリアを倒したエースだ!』


 騎士さんの言葉にシャトロの表情が歪んだ。

 言わなくていいから!

 油断させとこうよ!!


『やはり是が非でもここで潰しておく必要があるようだ。持ちかるのは諦めるべきか』


 シャトロクリムゾンが厄介すぎる。

 距離を取れば即座に魔法弾が飛んでくる。

 接近しようとしても魔法弾が飛んでくる。

 接近出来ても斧とケリを受けてまた距離を取られる。

 シャトロクリムゾン、バランスのいい機体だ。


 しかもシャトロが何をしてくるか分からない。

 遠距離かと思えば急に接近して来る。

 上にジャンプしたり急にステップを踏んだり行動が読めない。

 せっかく接近しても斧だけじゃなく、近距離の魔法弾、蹴り、パンチまで使ってくる。


 対してプロトナイツは近距離特化。

 今の僕じゃ強襲しか出来ない。

 僕の技量不足で接近しても攻撃を当てられない。


「はあ、はあ、やれることを、やるしかないんだ!」


 僕はまた走り出した。


『何度やっても同じことだ』


 パンチを繰り出すと斧で受けられて蹴りでまた距離を取られる。

 距離を取った瞬間に魔法弾が飛んでくる。

 何度も翻弄されてそれでも前に出た。


 僕のその姿に王や騎士さんたちが涙を流す。


『何と、けなげな姿、強者であるのにけなげさを感じる』

『ナリユキ殿、我らも援護します!』

『ナリユキ君、私の突撃で隙を作るわ』


「みんな、ありがとう」

『私に聞こえぬよう作戦会議か、無駄な事を』


 ナイツ2体が魔法弾を撃つとシャトロクリムゾンが飛んで避けた。

 ジャンプしたシャトロクリムゾンにナイツの魔法弾を撃ち続けるがすべて装甲に当たると消えた。

 全部装甲のバリアで防いだか。


 逆にナイツはシャトロクリムゾンの魔法弾を受けて仰け反った。



 その隙にアイスキャットが前方に氷のバリアを発生させて着地の瞬間を狙い飛び込む。

 うまい、これなら避けきれない。


 シャトロクリムゾンはアイスキャットのバリアに蹴りを繰り出して直撃を防ぎつつ飛んだ。


『はあああああん!』


「うおおおおお!」

「いっけえええええええ!」

 

 シャトロクリムゾンの着地地点に走った。


『甘い!』


 シャトロクリムゾンは即魔法弾を撃って来る。

 対応が早すぎる!

 それでも僕は魔法弾を受けながら走った。


 赤い光をまとった斧と青い光をまとう拳がぶつかりさらに光を放つ。

 そしてシャトロクリムゾンの蹴りを横アッパーで弾くとお互いにバランスを崩し交差するようにすれ違いお互いに転倒した。


『なんと! 赤い旋風が膝をついた! ナリユキ殿が成長し今も追いつこうとしている!』


 シャトロクリムゾンが僕より早く起き上がり武器を構えた。

 僕が起き上がると同時に向こうは魔法弾を乱射する。

 両腕を盾のように構えながらまるでボクサーのような姿勢でシャトロクリムゾンに迫る。

 シャトロクリムゾンは後ろにステップを踏んで下がる。


『くう! この気迫! 何なのだ!?』

「うおおおおおおおおおおおおお!」


 また拳と斧がぶつかり光を放つと拳と斧が後ろに弾かれお互いに体勢を崩す。

 シャトロクリムゾンは半身のまま後ろに下がり杖で魔法弾を乱射する。


 それでも前に出て拳を繰り出すとシャトロクリムゾンは杖で爆発を引き起こす。

 お互いに爆風で後ろに下がるけどそれでも前に出る。

 シャトロクリムゾンの杖が壊れていた。


「まだまだあああああ! おりゃああああ!」

『くう! しつこい!』


 更にパンチを繰り出すと斧で弾き壊れた杖で殴りかかって来る。

 拳と杖がぶつかるその瞬間、シャトロクリムゾンの蹴りが僕の腹を捕らえる。

 後ろに吹き飛んだ。

 蹴りからエッグを守る為にオートで魔力をたくさん持って行かれた。


 シャトロクリムゾンが後ろに飛んで着地する瞬間に左足がガクンと曲がり体勢を崩しかけ体勢を立て直す。


「はあ、はあ、蹴りを使いすぎて脚がイカレテきたかな? 計画通りだね(適当)」



『まさか、すべては演技だったと言うのか!』

「所でそのレッドモード、いつまで持つのかな? ブルーモードと同じでもうすぐ効果は切れるよね? もうスピードを生かした攻撃は難しい、杖も壊した」

「……」


「さあ、続きを始めようか」

『ウインドイーグル、味方の援軍が来るよ!』


 空中に鳥型の魔装ゴーレムが現れた。

 画面に美少女の姿が追加された。


『魔法弾を撃ちまくります!』


 ウインドイーグルが足の爪部分にあるコアから無数の魔法弾を撃った。

 シャトロクリムゾンは片足でケンケンしながら避け、後ろに下がる。


『今回の所は私の負けだ。また会おう!』


 シャトロクリムゾンがケンケンしながらジャンプして撤退していく。

 あっぶね、プロトナイツの画面を見るとプロトナイツの画像が見える。 

 そしてその関節部分が黄色や赤に光っていた。


 これ、機体の破損や疲労度だよね?

 黄色から赤に変わったら壊れるやつ。


 インドイーグルがゆっくりと地面に降りていく、でも途中で落下の速度が上がっていく。

 ウインドイーグルがガシャンと落下した。


「ええええええ!」

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