第2話
夏休み直前に転校してきた不死身乃くんはちょっと変わっている。
彼が転校してきて1週間がたったある日、不死身乃くんのワイシャツの背中の部分が謎に破れていた。
「え…不死身乃くん、背中…どうしたの??」
気になった私がつい声を掛けると、彼はビクリと一度飛び上がってから「ど、どうして!?」と明らかに焦りだした。
「あ…いや、なんかワイシャツ破けてるから」
「嘘!?翼は!?もしかして出ちゃってる!?」
((つばさ???))
全く予想だにしていなかった反応に聞き耳をたてていたクラスメイト全員が首を傾げる。
(つばさってなんだ?)
(不死身乃くんは背中になにかあるのか?もしかして刺青!?海外なら高校生でも刺青あってもおかしくないのかな?検索検索…)
(いや全く分からん……不死身乃くんは何と言い間違えてるんだろう…)
(汲み取れぇ〜私達が汲み取ってあげないといけないんだから〜)
私の後ろで「う〜ん」と密かに考え込んでいるクラスメイト達。
一方で私の言葉でプチパニックに陥ってしまった不死身乃くんは「鳳凰〜」と叫びながら教室を飛び出して行ってしまった。
「え!?不死身乃くん!?待って!!」
(あなた凄い方向音痴じゃない!!)
(この間トイレに行ったっきり迷子になって戻って来れなかったじゃん!!)
(というか迷子になったその先で謎のボヤ騒ぎ起こして生徒指導くらってただろ!!)
((ダメだ…!一人にしておけない!!))
いてもたってもいられなくなった私達は不死身乃くんを追って一斉に走り出した。
しかし教室を出て数メートル先で私達はすぐに不死身乃くんを発見した。
そこは成績上位者が集まる特進クラスの教室だった。
恐る恐る中を覗いてみると、真紅の髪をまるで炎の様にメラメラと燃やしながらその金色の瞳から大粒の輝く涙を流して大泣きする不死身乃くんが長身の男子生徒の足にすがりついていたのだ。
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