【創作者として】

 僕は、小説を書いている。突然ではあるが、創作とは孤独なものだ。自分の世界に閉じこもり、自分だけの世界を作る。


 僕は、子供の頃から他の人間とは違うと感じていた。雨の日の教室では、端にいて──天気の日には、中庭の隅にいる。誰にも共感できずに。されずに。

 ただ、夜の深い海を漂ってきた人生だった。暖かな明かりと歌声を振りまく豪華客船を遠くに眺めながら──常にうらやましさを感じるのだ。


 強烈な孤独と社会から断絶されたような拒絶感。しかし、涙の中にも感傷はないと言い聞かせている。手を差し伸べられても掴めない矜持があるのだ。


 創作は──とくに小説は孤独こそ力となる。なってしまうからこそ、孤独と隣り合わせの生き方をしてしまうのだ。他人に対して、歩み寄れない自分と歩み寄りたい自分が、まるで帝釈と修羅のように戦っている。そう、葛藤に苦しめられている。


 寂しさや後悔を重ねても、社会の一員になるべく権力者にすり寄っても、どこか孤独を感じる。そして、空回り。そのたびに後悔をしてしまう。


 心の傷を抉る人の言葉すらも。哀れな苦しみに身を震わせても。杞憂の剣が、この身を貫き、死に至る瞬間すらも。


 全てが僕の文学の骨になり、血と肉になるのである。そうして書かれた小説は、傷だらけの皮となる。


 今日も文学で作られた身体は、世間の中で発芽する絶望の花の蜜を啜り、大きく成長を続けているのである。

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