【創作者として】
僕は、小説を書いている。突然ではあるが、創作とは孤独なものだ。自分の世界に閉じこもり、自分だけの世界を作る。
僕は、子供の頃から他の人間とは違うと感じていた。雨の日の教室では、端にいて──天気の日には、中庭の隅にいる。誰にも共感できずに。されずに。
ただ、夜の深い海を漂ってきた人生だった。暖かな明かりと歌声を振りまく豪華客船を遠くに眺めながら──常にうらやましさを感じるのだ。
強烈な孤独と社会から断絶されたような拒絶感。しかし、涙の中にも感傷はないと言い聞かせている。手を差し伸べられても掴めない矜持があるのだ。
創作は──とくに小説は孤独こそ力となる。なってしまうからこそ、孤独と隣り合わせの生き方をしてしまうのだ。他人に対して、歩み寄れない自分と歩み寄りたい自分が、まるで帝釈と修羅のように戦っている。そう、葛藤に苦しめられている。
寂しさや後悔を重ねても、社会の一員になるべく権力者にすり寄っても、どこか孤独を感じる。そして、空回り。そのたびに後悔をしてしまう。
心の傷を抉る人の言葉すらも。哀れな苦しみに身を震わせても。杞憂の剣が、この身を貫き、死に至る瞬間すらも。
全てが僕の文学の骨になり、血と肉になるのである。そうして書かれた小説は、傷だらけの皮となる。
今日も文学で作られた身体は、世間の中で発芽する絶望の花の蜜を啜り、大きく成長を続けているのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます