元ひよこに溺愛されてます。ありですか?

相川美葉

第1話

思えば、私と千影の出会いは本当に偶然だった。

たまたま入った路地裏で、捨てられたダンボールを拾った。

ダンボールに入っていたのは一匹のひよこ。

千影は捨て犬や捨て猫ならぬ、捨てひよこだった。

少しでもつついたら死んでしまうんじゃないかって思うくらい、衰弱しきっていた。

見捨てられなくて、家で飼うことにした。

お母さんは言ったんだ。

「お父さんには内緒ね」

お父さんは、お酒に溺れてよく私達に暴力をふるっていた。

何でそんなことするの?痛い!痛い!って叫んでも、五月蝿い!って怒られて叩かれる。

お母さんは泣きながら止めていた。お父さんが怒ると、お皿も本も投げてくる。たまに瓶で殴ってくる時もある。

ガシャーン。

バリーン。

私はただ、部屋の隅に丸まって耳と目を塞いで嵐が通り過ぎるのを待つだけ。

小学生になる前にお母さんとお父さんは離婚した。

私と千影は勿論、お母さんについて行った。

千影は何時も傍にいてくれた。嬉しい時、楽しい時、悲しい時、辛い時。

何時も心配そうに私の手に乗っかる。言葉は通じなくても、心配してくれているんだって思える。

笑顔になると千影は私の頭の上に乗っかって、移動する。

それなのに、、、、

「よ、杏里。学校楽しかったか?」

目の前にいるイケメンは誰?

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