第34話 二人きり①
えっと……。
僕は藤音に貰った家の位置が書かれた紙を頼りに、街を歩いていた。
放課後にいつもの藤棚に集合になったのだ。
場所を知らない藤音を案内してあげようという
なんだか……よく知る住宅街だな……。
藤音の家までもう少しというところで、僕の家の前を通り過ぎた。
なるほど……戻ってきたのか。
…………?
いや、流石にね。
そして十歩くらい歩けば、そこに椿の家。
昔は僕と椿、藤音は家が近かったから、よくこの辺で遊んだな〜。
またまた十歩くらい歩けば藤音の家があって。
今は誰が住んでるんだろうな。
一軒家だけど昔から全く変わらず
よし……ここか。
そして見上げると。
そこには、数年前藤音が住んでいた家そのものだった。
え……?
前と一緒の家……?
表札にはちゃんと「七星」と書いてある。
間違いないよな?
僕は何度も紙と現在地を比べるが、やっぱり間違ってない。
ぼくは恐る恐るインターホンを押す。
「はい」
「藤音さんの友人の天ヶ瀬です」
「あ、すぐ出ます」
それから十数秒。
玄関から藤音本人が出てきた。
「藤音、家同じなのか?」
「まぁ、一応? またここに帰ってくることを見越して、家はそのままにしておいたんだって」
「はぁ……」
なるほど……。
「それにしても早くない? 今片付けしてた」
「あ、ごめん! ゆっくり片付けてていいよ!」
「いや、どうせ今日で終わらせるつもり無かったし。別にいいよ」
「そ、そう……」
なんだか申し訳ないな……。
「結構早いけど、なんか理由があるの?」
「それがね……」
早速準備をして出てきた藤音と歩きながら、僕はいつも椿たちにいたずらをされることを話した。
「ははっ、なにそれ」
藤音は楽しそうに笑う。
「だから今日は一番に行ってやろうってわけ」
椿によると、いつメンは全員呼ぶらしい。
もうあんな罠にかかるのは散々だ。
「楽しそうだね」
「そう……なのか?」
僕としてはめでたくない話だが、楽しそうならオッケーだろう。
そうしている内に、気づけばいつもの藤棚だった。
「ここが椿が勝手に秘密基地とか呼んでる、藤棚」
完全に「いつもの場所」状態の藤棚。
綺麗に藤の花が咲いている。
「すっごい綺麗だね」
「そうだな」
今日こそは一番のようで、僕はホッとした。
周りを見渡しても、物陰をよく見ても、誰も居ない。
公民館も休みなので、完全に二人きり。
二人きり……?
おっとこれはマズイのでは……?
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