第23話

「ええええ! あらまあっ! あらあら、どうしましょう!」

 陰キャな玉美とは真逆でテンションの高い彼女――それは玉美の母親であった。

 とある休日、突然玉美が同級生の男子を家に招いたことで大騒ぎする母。

 今日はアレスが考案した《猫の言葉を翻訳してみたにゃ》のライブ配信をする日であった。しかしアレスは猫を飼っていなかったため、仕方なく玉美の家で撮影することにしたのだ。


「お母さん、落ち着くです。こちらは同じクラスの黒神アレスくん。ちなみにだけど、お母さんが考えてるような関係じゃないですから。勘違いしないように」

「結婚の報告じゃないってこと?」

「それ、勘違いしすぎです!」

「あら残念。黒神さん、騒いでごめんなさいね。玉美の母です。いつも娘がお世話になっています」

「どうも。黒神です。はじめまして」

「狭いところですけど、どうぞ。まあ、それにしてもハンサムな方ねぇ」

「お母さんもお綺麗ですよ。私がこの国で出会った母親の中で五番目に綺麗です」

「あらやだ! お上手!」

「五番で喜ばないでください……。あ、そうだ、お母さん。今から部屋にこもって二人きりですることがあって、たまに変な大きな声とか出すかもしれないですけど、気にしなくていいです。決して部屋には来ないでください」

「……あらやだ」

「玉美。その言い方はどうかと思うぞ」

「……言い方? あ。いや、違うから! そういうことじゃないです! お母さんには、後で詳しく説明するです!」

 玉美は顔を真っ赤にしながら、アレスの背中を押して二階へと逃げるのだった。

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