第21話 永遠の波
灯火の滝から離れた彼女は、自分の中に生まれた新たな感覚の灯火が、まだ静かに燃え続けているのを感じていた。それはただの記憶ではなく、彼女の内側で形を持ち、リズムを刻みながら成長しているようだった。その灯火が、彼女の次の一歩を導くように感じた。
森を抜け、広がる川沿いにたどり着いたとき、彼女はふと足を止めた。川の流れは穏やかで、その音が彼女の中の灯火と共鳴しているようだった。水面に反射する太陽の光がキラキラと揺れ動き、まるで波のように彼女の感覚を揺さぶっていた。
「この波は、私の感覚そのもの…」
彼女は川辺に腰を下ろし、川の流れを眺めながら、ゆっくりと手を水に伸ばした。冷たい水が指先に触れるたびに、その波紋が彼女の体の中に広がっていくように感じられた。その感覚は、彼女の心をさらに深く静寂と快楽へと誘った。
目を閉じると、川の流れが彼女の意識の中に入り込んできた。それは、彼女の鼓動と一体となり、彼女自身がその波の一部になっているような感覚を生み出した。自分が川そのものであり、また川の流れに抱かれている存在でもあるように感じた。
「私は、この流れに身を任せてみよう。」
彼女は靴を脱ぎ、裸足で川の中に立った。冷たい水が足元を包み込み、彼女の身体全体にその感触が伝わっていった。川の流れが、まるで彼女を新たな場所へと誘う手のように感じられた。
彼女はさらに一歩ずつ川の中に進み、水が腰まで達したところで静かに立ち止まった。水流が彼女の体を優しく揺らし、その感覚が彼女の心の奥底まで届いた。それは、滝の灯火とも違う、新たな快感の形だった。
「私は、どこまでも流れ続ける…」
彼女はその場で目を閉じ、ただ川の流れと自分の内なる感覚に身を任せた。過去も未来もなく、ただその瞬間だけが彼女の全てだった。その波の感覚が、彼女をさらに深い自己の探求へと誘うのを感じた。
川から上がると、彼女は太陽の下でゆっくりと体を乾かしながら微笑んだ。感覚の波は彼女の中に永遠に続き、これからも彼女を導き続けるだろうという確信があった。
「私はこの波とともに生きていく。」
そう心に誓いながら、彼女は再び旅路を歩き始めた。その足取りは以前よりも軽く、そして力強かった。彼女の中に灯る感覚の灯火と流れる波が、彼女をさらに未知の快楽と自由へと導いていくのだった。
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