第17話 内なる宇宙
彼女は丘の上で星空を眺めながら、自分の中に広がる感覚の宇宙を感じていた。外の世界の広大さに触れるたびに、彼女の内側にも同じような広がりがあると気づき始めていた。その感覚は、彼女をさらに深い自己探求へと誘っていた。
朝日が地平線から昇るころ、彼女は静かに立ち上がり、もう一度深呼吸をした。夜の間に感じた星々の輝きが、今もなお心の中で光を放っているようだった。その光は、彼女を次なる未知の世界へと導こうとしていた。
「私の中には、まだ知らないものがある。」
そう感じた彼女は、再び足を動かし、さらに遠くへと歩き始めた。歩みを進める中で、彼女はこれまで以上に周囲の自然に意識を集中させていった。風が吹き抜ける音、鳥たちの歌声、葉が揺れるリズム——それらすべてが彼女の感覚を目覚めさせ、内なる宇宙と共鳴していた。
途中、小さな池が現れた。水面は鏡のように静かで、空と木々を映し出している。その前に立った彼女は、自分の姿が水面に映るのをじっと見つめた。そこに映る自分は、これまでの日常の中で感じていた自分とはどこか違って見えた。
「これが本当の私…?」
彼女はそう呟き、水面に手を伸ばした。その瞬間、波紋が広がり、彼女の姿が揺れ動く。それは、彼女の中にある可能性や感覚の広がりを象徴しているようだった。揺れる水面を見つめながら、彼女は自分自身が一つの宇宙であると感じた。
池のそばで座り込み、彼女は目を閉じた。外の世界と自分の内側が溶け合うような感覚が押し寄せ、彼女は深い静寂と一体化した。そこには、彼女自身の存在を超えた広がりがあり、無限の可能性が感じられた。
「私の中には、どれだけの宇宙があるのだろう。」
その問いに答えることはできなかったが、彼女はそれを知りたいという衝動を感じた。そして、その衝動こそが彼女を次の旅へと駆り立てるものだと理解した。
日が高く昇り、彼女は立ち上がった。池に映る自分の姿をもう一度見つめると、彼女は微笑んだ。自分の中にある無限の感覚と広がりを信じ、これからも旅を続けていく決意を新たにした。
「私は、私自身の宇宙を探し続ける。」
その言葉とともに、彼女は再び歩き出した。内なる宇宙を探る旅は、まだ始まったばかりだった。そしてその先には、これまでに経験したことのない感覚と快楽が待っているのだと彼女は確信していた。
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