読書は、私にとってただの趣味ではなく、人生を支える大切な「師」でもあります。書物の中には、さまざまな人の経験や知恵、感じ方や考え方が詰まっていて、どんなに遠い場所や時代であっても、その人の視点に触れることができるのです。それは、実際に会うことができない「遠くの友」との対話のようなものです。

私が最初に読書に救われたのは、辛い時期に孤独や悲しさを抱えたときでした。誰にも話せない気持ちを抱えていた時、物語の中の登場人物や著者の言葉が、まるで寄り添ってくれているかのように感じられました。本の中で見つけた言葉が、ふとした瞬間に心の支えとなり、勇気を与えてくれることが何度もありました。ページをめくるたびに、誰かが私を理解してくれている、という感覚が湧き上がり、孤独な気持ちが少しずつ和らいでいきました。

また、読書を通して学んだのは、「異なる視点を持つことの大切さ」です。自分の考えに固執するだけでは、どうしても偏った見方に陥りがちです。しかし、他者の視点に触れることで、自分の狭い視野が広がり、考え方が柔軟になります。たとえ自分と違う価値観を持っている人の言葉であっても、その背景や思いを知ることで理解が深まり、違いを受け入れる心の余裕が生まれます。

さらに、読書は私の空想を膨らませるための糧でもあります。想像力を働かせ、物語の中で自分自身を様々な場面に置いてみることで、現実では得られない経験を仮想的に積むことができます。この経験が、創作活動においても重要な役割を果たしています。物語の中で学んだ感情や出来事が、私の作品に影響を与え、新たなキャラクターやシーンを生み出すきっかけとなるのです。

読書がもたらしてくれるものは、単なる知識や情報だけではありません。それは、心の豊かさであり、他者と共感し、理解しようとする力であり、そして何よりも、私たちを内面から成長させてくれる力です。本を読むたびに、自分が少しずつ変わり、成長していることを実感します。それは、静かに、しかし確実に心を耕し、新しい価値観やアイデアを生み出す種をまいてくれるのです。

このエッセイシリーズを通して、私が読書を通じて得た喜びや学びが、読者の皆さんにも伝わればと願っています。そして、日々の生活の中で、新たな本との出会いが、皆さんの心にも新しい風を吹き込んでくれることを期待しています。