第27話 タッグバトル
薄暗い商店街の通り。閉ざされたシャッターが連なるその空間には、風の音すらも反響して不気味さを増していた。人影はなく、だからこそ玄花と双葉は、気兼ねなく全力で戦うことができていた。
「飯が沢山だな、準備はいい?」
双葉が片手に日本刀【永瑕の月】、もう片手に白い銃身に金色のラインが走る拳銃【イクスティンクト・ノヴァ】を構える。
「もちろん、今日も貴女の後ろは守ってみせるよ」
玄花はオート手裏剣・通称【A剣】を手に、跳ねるような身のこなしで応える。投げた手裏剣は跳弾して正確に敵を貫き、自動で変形して刀や銃に早変わりする。
「双葉――そろそろその銃、使いこなせてるか?」
「冗談言わないで。使いこなせてなきゃ、今頃汝にまーやの銃弾が当たってるよ」
互いに笑みを浮かべながら、背中を合わせる二人。前方に現れた武装兵たちが一斉に突撃してくる。玄花は軽やかに回転しながらA剣を投げ、跳弾した手裏剣が一体、二体と敵を倒す。さらに手裏剣を刀に変形させ、飛びかかる兵士の腕を弾くように斬り裂く。
「相変わらず器用ね、玄花」
「そっちはどうよ、銃と刀を同時に扱えるの?」
双葉も軽やかに足を踏み出し、刀で敵の槍を受け流しつつ、銃で別の敵の胸元を正確に撃つ。二つの武器が同時に弧を描き、戦場を支配するように舞う。
「ふん、まーやに任せなさ~~ぁいってあれ?」
双葉が視線を上げると、銃を持った敵が突然屈みながら銃弾を壁めがけて放つ。だが、その弾は二人の間を通ると跳弾して双葉の脳天を貫こうとした。しかし、A剣は跳弾した弾を自動で追跡し、弾を弾き返して双葉を守った後、威力を安定させたA剣はそのまま正確に敵の肘へ命中する。
「……跳弾まで読めてたんだね、汝は」
双葉が感心した声を漏らす。
「貴方も守るのがボクの中で最も優先されることだからね」
玄花は軽く笑い、すぐに蹴りを放つ。蹴りは隣の敵の腹を直撃し、吹き飛んだところに双葉が永瑕の月で敵を地面へ叩き落とす。
「連携プレイってやつ?」
「まぁね、でもそろそろボス戦かな……」
二人は笑いながらも、一瞬の隙も見逃さず、武装兵たちを次々と制圧していく。斬撃、銃撃、跳弾、蹴撃――商店街の通りには二人の戦闘の軌跡が刻まれていく。
「玄花、次はあの二人組だ!」
双葉が指差す方向には、あのヨーヨーを使う少年と、バットを構える青年たちが迫ってきていた。
「よし、行くよ!」
「もちろん!」
合図である掛け声と共に、二人は戦場へ飛び込み、戦闘の熱をさらに高めていった。
薄暗い商店街に、さらに緊張が走る。ヨーヨーを自在に操る少年と、改造したバットを振り回す青年――彼らは兄弟らしい会話を始めた。
「兄貴、行くぞ!」
「分かってるよ。まぁ、歪にいい知らせしたいしな」
少年が軽やかにヨーヨーを振り回し、光の軌跡を描きながら双葉に突進する。
「受けて立つ!」
双葉は永瑕の月を構え、銃も手元に準備。手首のスナップひとつでヨーヨーを弾き飛ばし、跳ね返りの軌道を読んで銃口を構える。だが、少年は巧妙に軌道を変え、刃先に小さな切っ先を隠していたヨーヨーが双葉の肩に擦り傷をつける。
「くっ……!」
血がにじむ傷口を見て、双葉の額に汗が滲む。その瞬間、玄花の視界に飛び込んできたのは、バットを振るう青年の姿。彼の一振りは店のシャッターを抉り、鉄の軌跡を残して迫る。
「貴方たち、ボクの友を傷つけるなんて――許さないぞ!」
玄花は怒りを燃料に、跳躍してバットに飛びかかる。跳ね返る衝撃を足で受け止めつつ、手裏剣を変形させた刀でバットの軌道を逸らす。店の柱や看板を蹴って勢いを増すと、青年の体勢を崩し、地面に膝をつかせた。
「兄貴、コイツ……強い!」
少年が焦り、ヨーヨーの軌道が乱れる。その隙を見逃さなかった双葉は、肩の傷を押さえつつ一歩前に踏み出し、銃口を狙い定める。
「させない!!」
引き金を引く直前、少年はヨーヨーを回転させ、防御と攻撃を同時に行う。しかし双葉は冷静に距離を取り、刀の柄でヨーヨーを跳ね返し、隙を作る。瞬間、彼女の刀が少年の腕をかすめ、跳ねる火花が商店街のシャッターに反射して光を走らせた。
「玄花!任せた!」
双葉の声に応え、玄花は青年を完全に押し込み始める。バットの一振りを傘のように刀で受け止め、次々と脚技で翻弄。鉄製のバットが商店街の地面を叩くたびに、火花と振動が空気を切り裂く。
「来るならかかって来い!男だろ!!」
玄花が怒号を上げると、青年も逆に力を振るうが、彼の機敏なステップに追いつけず、次第に押されていく。その様子を見ていた双葉は、胸に闘志を再び燃やす。
「私も――負けてられない!」
血のにじむ肩を押さえつつ、ヨーヨーを手に取った双葉は、旋回しながら少年に突進。高速で振られたヨーヨーは狙いすました軌道で少年の防御を掻い潜り、彼の腕や肩をかすめる。跳ね返るヨーヨーを巧みに操り、二人は兄弟を同時に圧倒していく。
「行くぞ双葉!!」
「うん!」
双葉と玄花の合図で、一気に連携攻撃。玄花が青年に連撃を浴びせ、双葉はヨーヨーを逆手に少年の動きを封じる。商店街に轟く衝撃と共に、二人の攻撃が決まり、兄弟は同時に膝をつく。
「……これで、終わりだ」
玄花と双葉は背中を合わせ、最後の攻撃を放った瞬間、兄弟は完全に動けなくなる。通りには、戦闘で散った破片や跳ね返った火花の残滓だけが残った。
「ふぅ……やっと終わったね」
双葉は息を整えると同時に、ボロボロの服が限界を迎えてはだけてしまう。中性的な体つきのため、玄花は頬を赤らめながらも、即座に着ていたパーカーを双葉に着させた。その心遣いに双葉は笑って玄花の背中を優しく叩いた。
「汝はやっぱり最高の相棒だ!」
「ありがと、双葉がいてくれて本当に良かった」
玄花も笑顔で応えた。商店街の静寂に、二人の勝利の余韻だけが静かに残ったのだった。
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