伝説×最強×案内人=?

「…んー…」

「リリィさん、どうかしました?」

 珍しく何やら画面とにらめっこをして唸るリリィさんにそう声を掛ける。

「いやぁ、そろそろポイントランキングが発表されるでしょ?」

「そうですね」

 ポイントランキング、各プレイヤーが稼いだポイントの合計を競って順位付けをする【ワルキューリァ・オンライン】の恒例行事の事だ。

「…それで、ポイントランキングが…なにか?」

「いやぁ、単純に稼ぎ過ぎたかなぁって」

「…一応聞いておきますけど…、何ポイント稼いだんですか?」

「うーん、ざっと1,000万ポイントかな?」

「1,000…!?」

 一体何をしたらそんなにポイントがもらえるんだ…。

「いやぁ、最近はオフで潜ることも多くって。ついついポイントを荒稼ぎしちゃってねぇ~」

 …最早、そういう次元ではないと思うんですけど…。

「こんなにポイントがあっても、正直出費は少ないし…まあ、宝の持ち腐れっていう事だね」

「…それで…?」

「…トキハちゃんにさ、頑張って私よりも稼いでほしいんだよね」

「えっ…」

 今から?…ランキング発表の…2週間で?

「まあ勿論、私も手伝うよ~。スコアが稼ぎやすいダンジョンに潜って貰うし」

「て、手伝っちゃ駄目じゃないですか?」

「ん?あ、確かにそうかもね~」

「―――あれ、二人とももう来てたんだ」

「お、純白ちゃぁ~ん」

「あ、こんにちは、タリスタさん」

「やほ、二人とも。二人は今のところ、どのくらいポイント稼いだ?」

「私は800万くらいですね」

「私は1,000万くら~い」

「へぇ、そんなに。ちなみに私は1,400万稼いだ」

「へ?」

「おぉ~、もうそんなに稼いだんだ」

 え?せん…よんひゃくまん?…え、嘘…え?

「あれ、トキハちゃんがポカンとしてる」

「え…もしかして私…最下位?」

「いや、全然そんな事ないと思うけど」

「むしろ800万で最下位を取る方が難しいと思う…」

 私結構頑張ったのに…、敵沢山倒して…ランク10のダンジョンにいっぱい潜ったのに…この中で一番ポイントが少ない…!?

「…もう800万、稼いできます」

「うん、いってらっしゃーい」

「頑張ってね~」



「…で、純白ちゃん」

「どうしたの?」

「ちょっとご相談があるんだけど」

「ふ~ん、珍しい」

「私さ、トキハちゃんと純白ちゃんとでパーティーを組みたいなぁって思ってるんだけどさ」

「…私、一匹狼タイプだと思うんだけど」

「そーかなぁ?…ま、とにかく考えておいてね~」



「ふっふっふ…よくぞ来たトキハ…」

「悪いけど、今そんな芝居に付き合うつもりはないの。【刀剣術・迅雷】!」

「え、ちょっと待っ———」


 ———それからダンジョンというダンジョンを最速で攻略すること、8時間…。

「…どうにか1日以内に853万…疲れた~…」

 たったの8時間で約853万ポイント、単純計算で一時間に約106万ポイント稼いでいる計算になる。

「お疲れ、トキハちゃん」

「あ、リリィさん」

「憂さ晴らしはできた?」

「憂さ晴らしって…別にそんなのじゃ…」

「まあでも、これで合計大体1,653万ポイントだね~」

「というか…リリィさんってなんで、頑なに一番になるのが嫌なんですか?」

「う~ん…嫌…っていう訳じゃないんだけどさ?…ただ、1位って凄いとは思うけど、なりたいかって言われたら私はNOなんだよね」

「そうなんですね」

「私はあくまで、『案内人』だからね。それに、私に晴れ舞台は似合わないから」

「…そう、でしょうか」

 それ以上は、あまり深く聞かないことにした。これが、『案内人』としてのロールプレイなのか、それとも、本心からの言葉なのかがわからなかったから。

「…あ、そうそう」

「はい?」

「さっきまで純白ちゃんと話してたんだけどさ、私と、純白ちゃんと、トキハちゃんとでパーティーを組まない?」

「…え、いいんですか?」

 リリィさんとパーティーが組めるなんて、願ってもない事だ。

「うん、勿論。…なんか、その方が楽しそうだしさ。ランキング発表の後のサマーイベント例のイベントでも、四大要塞の作成者たちが作ったダンジョンにパーティーで挑めるしね」

 面白そう、楽しそう、リリィさんがこういう事をするとき、決まって動機はそんな理由だ。

 …けど、リリィさんは意外と思慮深かったりもする。…意外と。

魔王側あっちが最強格をぶつけてくるなら、勇者側私たちも最強二人をそろえておきたいなぁ~って。どう?純白ちゃんと足並み揃えて攻略とか、やってみない?」

 私の答えは勿論、決まっている。

「はい、喜んで」

「本当?良かった良かった」

「それじゃあ、パーティーリーダーはリリィさんがお願いしますね?」

「え?トキハちゃんやらないの?」

「こういうのは、言い始めた人が中心になって進めるものですよ」

「えぇ~、トキハちゃんの方がリーダーシップあると思うんだけどなぁ~、名ばかりリーダーじゃダメ?」

「だめですよ、きっちりリーダーの仕事してください」

「分かったよ~。…それじゃあ、パーティーの名前は…3人で決めよっか。あと少ししたら純白ちゃんも来るから」

「はい、分かりました」


――――――――

作者's つぶやき:サマーイベントは海辺での開催ですね。リリィさんが【アビス・スパイダー】の糸を集めていたのは水着を作るためです。

パーティーの名前、何にしましょうかね。要望がありましたらコメントしてください。

最強→わかる

伝説→わかる

案内人→?

…本当にこんな感じですよね。(この中で一番強いのは案内人という…最強とはなんなのか())

――――――――

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