第10話 3日目の進捗は……
パチパチパチ…
不揃いの石を並べた中央部分には今までなかった綺麗な火が――――
火を見れば人の心が落ち着くとよく聞いたことはあるが、まさか本当の事だったとは…関心半分、安心半分の俺はジュー!と香ばしい匂いを漂わせる肉に釘付けだった。
勿論。 食器や料理器具などないなので熱した石ころの上に肉を置いているだけ。
調味料がない! 等贅沢な事はいえないので、焼き上がりを待つばかりである。
『ほぅ! それが焼き肉という奴でありますか、初めて目にしたでありますが。 大変美味しそうに見えるでありますな! はっはっは!!』
と、地面にうつ伏せになった1号が声を掛ける。
「とはいえ、正直3日ぶりの食事だからどうなる事やら。 それに、この石ころは1号のお陰でもあるわけだしな。 感謝するぜ」
『はっはっは! 喜んでもらえたようで何よりでありますなぁ!』
なんとか周囲の散策をしてみたが、小さい石ころは見つからず…あきらめてかなり大きめの石を運んできた俺。
それを見た1号が、すかさず道具を用意し―――頑張って砕いてくれていた。
まさか、あいつに石を砕く道具があったなんて…
もう一度腕輪のマークを確認してみる。
うん、しっかりハンマーの文様が彫られているよな…まさかこれが建築用道具だとは誰も思わないだろう。
ハンマーの大きさで言えば俺のハンマーの方が何倍も大きい。
が、これがただの建築用道具で…あっちが石材加工用の道具等とは誰も思わないだろう!
『なんとかなりましたね。 一時はどうなる事かと思いましたが、その辺にあった枯葉で火を付けるとは流石はマスター、名案でした』
「ははは…たまたまだけどな…」
サバイバル経験ゼロの俺がなんとか捻りだした”乾いてたら燃えるだろう”という感じでその辺に落ちていた落ち葉を拾ってきて燃やすだけ。
なぜ、もっと早く気付かなかったのか…いや、焦ってたのかもしれないな…色々と。
「はぁ…味がしねぇ。 それにもっさりする」
焼けた肉は最高に不味かった。
―――――――――――――――――――――――――――――
しばらくして、俺達は話合いをする事にした。
「で? 次に必要なのはなんだと思う? 水問題は、1号の木製の水筒を作成する事で解決するとして…食料の保存方法は天日干しだったか?」
『でありますなぁ! 一度火を通しておいて、ただただ干すのであります! であれば、虫も湧かないでありましょう! というか、そもそも虫とか生物などはいるんでありますか?
「ん~…どうだろうな」
ここ数日。 鳥のさえずり一つ聞こえた事はない、俺達の住まう不気味な森の名させえ解らない。
辺りを散策した時もそれらしきものは一切見当たらなかったし、普通の森でない事は確かである。
『不明です。 スキャン情報を確認していますが、性質そのものは何ら地球のものと変わらないといえるでしょう。 しかし、不可解な事は色々とあります。 昨日は大雨でした。 いくら木々が生い茂っているとはいえ、地面は濡れ乾いた葉もまた濡れている筈です。 ですが、昨日の今日―――この状態で未だ乾燥しているなどとは―――いえ、考えるのはやめましょう。 そもそも異世界ですし』
とまぁ、流石のナビも半分ばかり考える事をやめている。
始めは理解しようと何度か試行錯誤を繰り返していたナビだったが、ここは自分の常識が通じない異世界だと認識してからは偉く気分よさそうに気楽な考えになった。
『さて! 難しい話はここらへんで終わりです! 残り4日。 魔物の襲来に備えて、のこりは防衛施設の強化を!』
「おっと、そうだな! 1号! これより、任務を言い渡す!」
『む? おぉ! 任務でありますか、艦長!』
「あぁ、お前の知っている通り。 この拠点は1週間に一度、魔物の襲来に合う。 規模は不明―――どれくらいの数がどの位置から現れるのかも解らない。 だからこそ、今出来る最大限の事をやっていこうと思っている。 まずは! そうだな…塀でもつくるか?」
全長15m程の拠点ではあれど、四方八方からかこまれればそれで終わりな気がするし、とりあえずあの頑丈そうな木々を加工して壁のように塀を作ろう。
『方針は決まりましたね。 塀の設計図はお任せ下さい、こちらで防御力重視のものを算出致します』
「おっけ~まかせたナビ。 俺は木をひたすら伐り倒すとするか…」
『ではでは! 私は木材の加工を!』
―――――――――――――――――――――――――
3日目にしてしっかりとした拠点の作成を開始!
とはいえ、四方15mしかない小さな拠点を防衛する事はできるのか!?
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