第7話

だが…何かがおかしい。



魔獣の子にしては余りに細すぎる。

メスでもかなり逞しい体つきをしているというのに…この子供は線が細過ぎる。


それに…首、手首…そして足首の。。

拘束されていたとしか思えない痛々しい跡…。

そして体中に散らばる痣と傷跡…。



「お前…何者だ?!」

マオは違和感だらけの子供に問いかけた。

「…mix…と呼ばれてた。でも…名前はないの…」

意外にも、その子供は警戒心などまるで無い様に問いに答えた。

そして、

「お兄さん、人?」

と、今度はマオに聞いてきたのだ。


「あぁ…俺は人間、名はマオと言う。…お前、魔獣なのに喰おうとしないのか?!」

余りの事に、つい普通に聞いてしまう。

「うん…。僕はmix…人と魔獣の混血だから…」

「なっ…?!」

マオはかなり驚き、言葉を詰まらせた。



無理は無い。

目の前の子供から紡ぎ出されるそれは、今まで聞いた事もない言葉だからだ。



「?お兄さん…痛いの?」

『mix』の子供がマオに一歩近づいたその時、

反射的にその鼻先に剣を出していた。


「…っ!!」

息を呑んだのは…マオの方だった…。


「なおしてあげるから…怖がらないで?」

と、『mix』の子供が柔らかく微笑んだのだ。


邪気のないその笑みに、マオの手は自然に下りたのだった。

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