剣の花

ミデン

第一章: 影の中の花

古代ローマのコロッセウム。その広大な円形劇場には数千の観客が詰めかけ、歓声が響き渡っていた。砂塵舞うアリーナの中心に、一人の女性剣闘士が立っている。リヴィア。彼女の鋭い眼差しには、決意と悲しみが入り混じっていた。


リヴィアはかつて貴族の娘として何不自由ない生活を送っていた。父は有力な元老院議員であり、家族はローマの上流階級の一員として華やかな生活を楽しんでいた。リヴィア自身も、その美貌と聡明さから、多くの求婚者に囲まれていた。


しかし、家族の陰謀がすべてを変えた。父の政敵であるセクストゥスが、巧妙な策略を巡らし、リヴィアの家族を陥れたのだ。父は反逆罪で処刑され、母と兄弟たちは奴隷として売られた。リヴィア自身も、奴隷市場で高値で売られ、剣闘士としての訓練を受けることを強いられた。


最初はただ生き延びるために戦っていたリヴィア。しかし、戦いの中で次第に強さを身に付け、数々の試合で勝利を収めるようになった。彼女の名は次第にコロッセウム中に知れ渡り、「影の中の花」と呼ばれるようになった。しかし、彼女の心の奥底には常に自由への渇望があった。


ある日、リヴィアは新たな剣闘士と出会う。その名はマルクス。彼は若く、まだ経験の浅い剣闘士だったが、その目には不屈の精神が宿っていた。リヴィアは初めて彼に会ったとき、自分の過去を思い出させるものを感じた。

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