あとがき

これが、あの事件の全貌である。


殆ど、テレビやマスコミでは明かされていない事実ばかりだったと思う。


しかし、あれこそ、私と、そして佐原健二死刑囚が体験した「浅間山連続殺傷事件」の全てなのである。


彼は、佐原慶次氏と偶然、同じ境遇で復讐を開始した。


しかし、一方で慶次氏は殺害を思いとどまってしまった。


最終的に、慶次氏は健二の暴走を止めて、二人で警察に逮捕された。


それでは少し、その後のお話をさせていただこう。


まず、水下だが―。彼は両手足を切断された状態だったため、緊急で病院に搬送された。医師曰く、「生きているのが奇跡」という状態だったようだ。


そして、登山サークルの実態については、慶次氏と健二の証言しか無いため、水下を訴訟することはできなかった。証拠となる、SDカードが、突然紛失したのだ。


そして、佐原健二死刑囚は死刑判決を下され、控訴しなかったため死刑が確定した。


一方で慶次氏は殺人未遂容疑と傷害罪で逮捕されたが、情状酌量の余地があるとして、懲役3年、執行猶予4年の判決が言い渡されている。


そして、この本を執筆し終わる一ヶ月前。


佐原死刑囚の死刑が執行された。


あの、残酷で、そして日本の犯罪史に名を残す凶悪な事件。


絶対に風化させてはいけない。


そして、語り継ごう。


私たちが二度と、「佐原健二」を生んでしまわないように―。







「雪辱の弾丸」


著者:千田ウユキ




令和6年 8月25日 初版発行




発行者:佐藤 礼


発行:株式会社MARUKAWA 丸川文庫


印刷所:株式会社MARUKAWA


製本所:株式会社MARUKAWA

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