第9話

その音を皮切りにしたんだろう。



あたしは持っていた傘を捨てて駆け出していた。



ほとんど無意識に、そして本能的だった。



危機感が高まり、見たからには殺されるって。



なんの刑事ドラマか、それとも映画かと思うような思考をしてたんだと思う。



その時は必死すぎてわけわかんなかったけど。



兎に角、自分の日常に戻りたかった。



だからこそびしょ濡れになって自分の部屋に駆け込み、鍵を閉めて玄関にうずくまるまで。

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