あの後

 結局、「無人島でトップ冒険者から逃げろ!」は1日で鬼側が全員ダウンしてしまい初日で終わってしまった。

だが、世界最強と名高い遥と僕の戦いが収められたことにより、世界中から注目を浴び、同接140万人、再生回数2億回を達成した。

SNS上では『魔法無しの漢』や、『筋肉魔法使い』と呼ばれ、『次の世界最強』として一躍有名になってしまった。

企画倒れしたのだが、帰りの船が来るまであと3日はかかるらしく、それまでは自由に過ごしていいという知らせが来た。

だが、僕はケイにものすごく避けられているらしく、彼女達が泊まる別荘とは別に、小さな小屋で過ごすこととなった。

だが、これは好奇である。この三日間、『不力』の修行をできるからである。

早速滝行をしに行こうと全裸になり、滝に身を打たれていると、何かが近づいて来ているのに気づく。

まだまだ集中が足りていないなと、思いながら目を開ける。

島の獣だろうか。

だが、森の中からひょこっと顔を出して来たのは遥だった。


「「あっ」」


二人の間に気まずい空気が流れる。


「服を着なさい!」


「ごめんなさい!」


目を手で隠しながらも思い切り指の間からガン見している遥においおいと思いながら、アイテムボックスから服を取り出して着る。


「なんであなたはいつも脱いでるのよ!」


「いや、なんか筋トレとかしてるとさ、なんか気づいたら全裸になってない?」


「作者の癖を言わない!ならないわよ!」


僕はあえてドン引きした目を向ける。


「え……マジ?」


「本当に驚いたみたいな目で見ないで!」


「それで、どういう要件で?」


「その……昨日言ったじゃない。身体の使い方教えてくれるって。」


僕はふと思った。


「なんかやらしい。」


「そういう意味じゃないわよ⁉︎」


「そうだね、まずは基本の突きからやっていこうか。」


「急に真面目にならないで!」


しばらく遥に指導していると、カイがやってくる。


「あ、カイ。」


「何してるんですか?海野さん。」


「なんか遥が身体の使い方教えて欲しいって……」


その瞬間、ビーチサンダルが思い切り顔にぶつかる。投げたのはケイ。ケイはふー、ふーと肩で息をしながら、


「海野さぁぁぁぁん!あなたやりましたね!遥様に手を出しましたね!どうせあれでしょう?遥様に勝った後、遥様を屈服させて身体の使い方教えてあげるとか言って小屋でーにーーーしてそのままーのーーをーまでーーーしたんでしょう!」


「やってない!やってない!ていうかケイが一番アウトなこと言ってるじゃん。」


「うるさいですね!ーーの捌け口が欲しいですか?そうですよね。」


その瞬間、ケイの顔にビーチサンダルが当たる。投げたのは風吹。


「ケイ、ーーうるさい。」


「ケイ、あまり殿方の前でそういうことを言うのはどうかと思いますよ。」


さらに麗華がケイを嗜める。

 

「だって……」


「だってじゃありません。恥ずかしい思いをするのはケイ自身ですよ。」


「はい……」


すると麗華はこちらへと向き直り、


「あ、海野さん、あなたの事を疑ってしまい、申し訳ございません。その、これがお詫びの印です。」


渡された紙袋の中にある箱を取り出す。ちょっと重いか?


「まあ疑うことも悪くないと思うよ。まあ僕のことくらいは信じてくれれば嬉しいけど。ところで中身は?」


「ティーカップです。」


見た感じ麗華はいいとこのお嬢様らしい。そんな人がくれたティーカップ。絶対高い。


「いや、別に大丈夫だよ。それにこんな高そうなもの受け取れないし……」


「出た。麗華の貢ぎ癖。」


風吹が口を挟む。


「いいんですよ。私が気持ち良くなるだけですし。」


「言っちゃってるよ。言っちゃってるよこの人。」


その時、近くに置いておいた携帯からけたたましい音が鳴る。


「どうしたんだろ。」


携帯には緊急通報と書かれていた。慌てて出ると、渚が出た。


「あ、源ですか?女性だらけの島で……」


言い切る前に電話を切り、携帯の電源を落とす。


「いいの?出なくて。」


そう聞く遥に一言。


「いいんだよ。彼女には罰が必要だ。」


その時、カイが一言。


「せっかくの島なんだし、海で遊ばない?」


「一応水着はあるけど……」


「これ大丈夫?この後僕が『LEO』のトップの人達と島で淫らな遊びをしたとか言われない?」


「バレないし大丈夫。」


風吹の言葉で僕はまあええかという気分になった。

この後、みんなで楽しく海で遊んだ。


鬼ごっこ編、完。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る