かえでの葉

もちこ

第1話



「私はさ、凪くんに死んで欲しくないな」


その言葉を、その言葉を発した時の

初めて見る彼女の顔を、

10年経った今でも鮮明に覚えている。───────






彼女との初めての出会いは、

枯葉がひらひらと舞う肌寒い秋の日だった。


中学の同級生がひとりもいない高校に進学し、いつの間にか入学式が終わり、夏休みが終わった。


こんな風に毎日を簡単に過ごしながら、

卒業するんだろうと思った。


部活もしていない、頑張りたいこともない、

そんな寂しい日々を送っていた僕の前に

突然彼女が現れた。


初めて会った時彼女は、

月を恋しがるかぐや姫のような顔をして、

空を見上げて泣いていた。

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