『怪獣 ジセーのクー』 下の7

 荒川博士は、容赦ないのである。 


 光線砲は、実は、異次元可及振動砲にもなる。


 かなりの範囲に影響するらしい。


 そこで、車の窓から地中に向けて、ばりばり発射していたのである。


 電源は自動車から取っている。


 ただし、どのくらい効果があるかは、まだ良く分からないらしい。


 『北に進行中。早いな。時速50キロメートル。』


 『あいつには、あまり、効かないかもしれません。』


 と、キューさんが言う。


 『君が開発したんだから、自信をもちたまえ。やつに、攻撃されているという認識を持たせることに意義がある。』


 『博士、実物を見たからには、疑いはしないが、行方不明にならないのですかな?』


 赤地警部が疑問を挟んだ。


 『まあ、可能性はあるし、そうなれば、むしろ有難い。しかし、警部、ただのご馳走が山といるんだから、簡単には諦めないでしょうな。さっきの話から、やつは、他のパラレルワールドにも出現しているみたいだし、きっと、人類はうまいのだろう。』

 

 『なぜ、このロボットさんの仲間がいたらしき他の世界では、まじめに、働いていたのかな。』


 『そこですな。不思議だな。』


 『あのですね、警部、そんなのあるわけがない。巻き込まれたらダメですよ。たぶん、この人のトリックですよ。天才オカルト博士なんだ。あり得ないことです。』


 刑事さんは、あくまでも、信用していないらしい。


 『‘’天才‘’、と認めてくれたのは、かなりの進歩だな。』


 『けっ。だいたい、この話し、読んでくださってる人はかなり希で、貴重な人みたいだし、だれも信用してはいないさ。』


 『ベートーヴェンさんだって、ブルックナーさんだって、マーラーさんだって、なかなか理解されなかったのだ。まして、ジセーのクーならば、当然のことだよ。200年後には、きっと身に染みるさ。』


 『それは、非常に不確実ですよ、社長。』


 『急に‘’社長‘’というなよ、キューさん。』


 『失礼しました。で、まだ、近くにいますか?』


 『またまた、相模湾の地下に入ったな。かなり深いし、追いきれないな。さて、次は、いったいどこに行くかな。どう思う、キューさん。』


 『そうすね、とりあえず、次は都会は避ける気がしますね。博士の光線振動銃が効いてますからね。』


 『逆に大都市に出るかもしれないな。』


 警部が、言ってみた、という感じで発言した。


 『それは、ありうるがな。娘に、ちょっくらぶっぱなすように言おう。おらは、キューさんと同感だな。たぶん、一旦大島あたりに上陸するだろう。』


 『博士、そんなの発射したら、危なくないですか?地下鉄とか。』


 『いや、ま、多少は、影響あるかもな。しかし、人類のためだ。』


 『そりゃ、まずいすよ。』


 『そうか? じゃ、準備して、一発だけ、東京湾に向かって、発射しよう。それで、われわれは、大島に渡る。』


 『地元に連絡します。』


 『警部、出世がなくなりますよ。』


 『余計なお世話だ。きみ、やはり、帰れ。』


 『ダメです。あなたから離れるなと、警視どのから言われています。』


 『あいつは、頭はいいし、上からの人気はあるが、結局は根性無しの、役立たずだ。自分と警察の立場しか考えていない。』



        😤























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