9日目3 救援物資
ということで想定外の本日3パート目であるが、新
さっそく、地上の
クアッドドローン部分の機構はタイプAとタイプBで共通であるため推力はまったく同一、そこに吊り下げた本体の重量の違いの分だけ差が出ている。
タイプAを10とした場合、タイプBの空中機動力は7といったところか…今回はさらに『荷物』も運ばせるので、機動力には一切期待できまい。
まあ、このドローンで空中戦をするわけでもないので、今のところさしたる違いでも無いがな。
…なんか空中戦フラグみたいな発言になったが、たとえ空中タイプの
ともかく、ちょっと実験したいことがあるからさっそく試してみよう。
えーと、こうして意識の半分ではドローンを操縦しながら、もう半分の意識で地上のタレットウォーカーたちに作業指示の予約を…ぐはっ。
ただでさえ地下拠点でソファーに座っている俺自身の視界との二重処理のところに、ドローンの空中機動まで意識すると感覚のオーバーロードで頭がパンクしそうになる…!
こりゃイカン。
もっとやり方を工夫せねば。
せめて地下にいる俺本体は
そして今度はタレットドローンを前傾させて、高度を消費しながら一気に加速して距離を稼いで…ある程度進んだら地下にいる俺本体の顔を左右に動かして
…よし、かなり
柔らか担当ギャルの
あっ、こら…せっかく動作が安定したのに
あっ、ほら! 地上のタレットウォーカーたちの作業内容がだんだんメチャクチャになって、三段にしなくちゃいけない鉄条網が四段になったり、バラ線同士が
落ち着け…ここは落ち着いて態勢を立て直そう。
まずはゆっくりと大きく深呼吸して…
…すると、ますます
「わあ、頑張ってるね! すごい広くなってるじゃ〜ん」
市庁舎を含む道路で囲まれた一区画を完全に制圧した彼らは、
そして単管パイプを立てた物にワイヤーを巡らせ、あるいは廃材を積み上げて外周を防御し、武器を手にした生存者たちが10人ほどのグループ単位で隙間なく監視することで、
…ふむ、おおよその状況は『掲示板』で把握していたが、こうして直接…いや、結局タレットごしの観察なのだが、ともかく実際に見ると本当に彼らはよくやっている。
まず、一区画を丸ごと制圧したことで商業ビル二棟を勢力圏に治めたのが大きいな。
それぞれ5〜6階建ての中型ビルではあるが、推定でこれまでの数倍に及ぶ床面積を確保したことは、生存者たちの居住性の向上に加えて生存者収容そのものの余地が大幅に拡大したことを示しているだろう。
さらに、『掲示板』の履歴によれば市庁舎に隣接する倉庫を接収したことも大きな意義を持っていて、その貯蔵品であったミネラル飲料水を大量に獲得できたことはもちろん、備品であるフォークリフトが防衛設備構築に大活躍しているようである。
もっと言えば、これらの敷地を含む一周りの道路区画を制圧していることは、そもそもそれ自体がタレット車両による機動防衛を格段に効率化していることも見逃せないだろう。
…ふーむ、さすがは警察と自衛隊による共闘体制である。
タレットによる援護射撃があったとはいえ、数千人規模の生存者コミュニティ防衛という難事をこれほど見事に軌道に乗せてみせるとはな。
相変わらず中型護送車によるマンション救出作戦を積極的に展開しているようだし、それ以外にも市庁舎コミュニティの安定を聴きつけた生存者たちが、決死の覚悟で
…おっ、また防衛柵の外側から一家族が駆けてくるのを見て、数グループの生存者隊がいっせいに飛び出して
こりゃあ、士気の高さも相当なものだな。
単管パイプ加工の槍やら
抑え込まれた
何グループかに一人はスキル持ちが配置されている体制と推察できる。
…よし、彼らが十分によくやっていることは分かったので、早いところ今日の『援護射撃』を済ませてしまおう。
まずは、新たなタレットドローンの飛来を見て市庁舎の中庭に集まる人垣の中に慎重に着陸して…『荷物』を切り離す。
タレットドローンの
すぐに警察官たちが駆け出して、中庭に何人かの男女を連れて来た。
警察官たちに
そして、注射器や外科処置用ツールの数と種類、
…実はこれも『掲示板』でリサーチ済みなので、急に連れてこられたこの男女についても、その属性は分かっているぞ。
もちろんこの男女は、市庁舎生存者コミュニティに少なからず存在していた医師や看護師たちである。
ちなみに彼らは市庁舎の救護室があるフロアを丸ごと臨時の前線病院として傷病者の治療にあたっていたのだが、なにしろ医薬品や器具が絶望的に不足していたため、これまで事実上の傷病者収容空間として感染症リスクの増大に備えるのみであった。
そこで、俺が総重量5kg程度という制限はあるものの、こうして医療品の救援物資を届けてみたのだが…喜んでもらえるかと思いきや、ちょっと怖いくらいに眼の色を変えているので周囲の警察官たちも声をかけられなくなっているぞ。
…うんまあ、物品自体は討伐ポイントにして1000ポイントかそこらの出費でしかないし、役に立ちそうならばよかったということで。
…決して医療班の様子が想像より怖かったのでビビっているわけではないぞ(虚勢)
でも、今日はもう早いところタイプBタレットを設置して終わりにしよう…なにしろちょっと怖かったからな(吐露)
…設置場所は安定の自衛隊高機動車でいいとして、代わりに従来のタイプAタレットはパトカーに移動させよう。
…タイプBタレットであるMAなんとか汎用機関銃も彼ら自衛隊の制式装備と瓜二つの姿であり、自衛官たちも何の補足説明も要らないくらいウンウンと頷いているので…はい、今日はこれにて撤収!
「はい、おつかれさま〜」
なんだか急に疲れてしまった俺は、タイプBタレットを
…なお、その夜にはついに
ちょっとこれはもう、我ながらこの小説はこのプラットフォームに適合しているのか、ラインをどこに置いたらよいのか、なんだかよく分からなくなってきたので…詳細な描写については割愛させてもらおうと思う。
すまんが、どうか了承してもらいたい。
…了承してほしいんだが、まあその…言える範囲で言うとだな。
…なんと言ったらよいか、その…俺と
生まれたままの…本当に真の意味で生まれままの俺たちがだな…
その、まあ、つまり…0.01mmの
…しかも、何度でも何度でも湧き上がる俺の情熱を、
ともかく、とても感動的であったとだけ…いや、もう一つだけ付け加えるならば、俺たち男が地上に生を
…なんなんだこの小説は。
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