第11話 結束の証

偽情報の拡散という支配者たちの罠をかいくぐりながら、せりちゃんと仲間たちは、自分たちの結束を強固なものにするための新たな戦略を模索していた。視聴者たちを混乱させず、真実をしっかりと伝えるためには、より確かな方法が必要だと痛感していたからだ。


ある日、影の住人がせりちゃんに提案を持ちかけた。


「せりちゃん、私たちのメッセージが本物であることを証明するために、視聴者にしかわからない合図を使ってみてはどうだろう?例えば、特定のサインや言葉を使って、私たちが本物だと知らせるんだ。」


せりちゃんはその提案に深くうなずいた。視聴者にとっても、自分が信頼できる配信者とそうでないものを区別する手がかりになるはずだ。こうして「結束の証」を視聴者と共有するアイデアが生まれた。


その夜の配信で、せりちゃんは慎重に視聴者に語りかけた。


「皆さん、私たちの活動を妨害するために、偽の情報が出回っています。ですが、これから私たちには一つの“合図”があります。それを使うことで、本物の私たちの言葉だと信じてもらえるようにしたいと思います。」


彼女は、新たな合図として「月夜の光を信じて」というフレーズを発表した。これはせりちゃんが秘密基地で夜を過ごす時、窓から差し込む月の光に心を支えられていたことから思いついたものだった。


「このフレーズは、私たちが真実を追い求めるための“結束の証”です。私の配信や投稿でこの言葉が使われていたら、それは確かに私たちのメッセージだと信じてください。」


コメント欄には「わかりました」「これで安心です」という反応が多く見られ、せりちゃんは視聴者との絆がさらに深まったことを感じた。これで支配者たちが偽情報を流そうとしても、視聴者たちは自分たちの合言葉を見分けるための目印を持つことになる。


しかし、支配者たちもこの動きを黙って見逃すわけにはいかなかった。彼らはせりちゃんの「結束の証」に気づき、さらなる手段で彼女を揺さぶる策を練り始めた。せりちゃんたちの活動が日増しに支配体制を脅かすものとなり、彼らにとって深刻な危機となりつつあった。


配信を終えた後、せりちゃんは静かにモニターを見つめ、自分の決意を改めてかみしめた。彼女のそばには、影の住人や新たに加わった仲間たちの支えがあり、視聴者との間にも確かな信頼が築かれつつあった。


「月夜の光を信じて…」その言葉を呟きながら、せりちゃんは支配者たちに対抗するためにさらに強い意志を燃やした。彼女の配信は、ただの情報発信ではなく、視聴者たちとの結束の象徴となり、次第に一つのムーブメントとなって広がっていく。


これから先、支配者たちの策略がどれほど巧妙になろうとも、せりちゃんは自分の信念を曲げることなく、共に立ち上がる仲間たちとともに前進する覚悟を決めていた。

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