第507話 ユーの秘策が出ます
そこから私達は全力で火力を叩き込んだ。積んでいる武器があんまり火力なくて時間がかかる。トビラ・オブ・カナガワも使ったけど、なかなか〈ギガント〉が倒れない。
そして来た、
「ここだ、どうしても躱せない瞬間!」
ユーがさらに前に出る。
『全員1列になれ、! スウ、俺について来い、機体をできるだけ俺の機体に近づけろ! 他の二人はその後ろに続け!』
「大丈夫!?」
『トレイル・フォーメーションだな。任せたぞ』
『任せたよ』
私は自分の機体をユーの機体の後ろ、20センチくらいに近づけた。
マイルズも同じように私の後ろにつく。
ユーのプロペラが起こしてる風で機体がちょっと機体おかしな挙動になりそうになる、なんとか抑えながら。
❝後方乱気流大丈夫か?❞
❝後方乱気流ってなんじゃ?❞
❝翼端で生まれた空気の渦が後方に流れる奴、後ろに飛行機がいたりしたら、飛行機事故の原因にもなる❞
❝マイルズさんも、マリさんも、スウもなんとも無いみたいやが❞
❝マイルズさんとマリさんはともかく、なんで一般人のスウが大丈夫なんだ。・・・❞
なんかまた、コメント欄がカラフルになり始めた。
お礼を言っていると、いよいよその時が来た。
ユーが中央の大砲に追われながら、弾幕の壁に向かっていく。
ちなみにユーが避けると、後ろにいる私に砲弾が当たりそうになるので、私はこれを躱しながら進む。
❝スウがめっちゃ大変そう・・・❞
❝乱気流に巻き込まれないようにしながら、横転を繰り返してるのエグい❞
ユーが本当に弾幕の壁に向かっていく。
直進してる。
一切避けようとしない。
「ユ、ユー! 本当にどうするの・・・?」
『俺を信じろ、スウ!』
私が戸惑っていると、ユーはそのまま機体を弾幕にぶつけた。
爆散するユーの機体。
「ちょ・・・! 何して!」
ぶつかる瞬間、ユーは転移で脱出したみだいだ。
『そのまま直進していけ、スウ!』
「ユーの覚悟はわかったけど、破片が!」
『プッツン男め・・・』
『また無茶するねぇ』
私は〖触手〗を鞭のようにしならせて、ユーの機体の破片を弾いたりしながら、なんとか躱して。
弾幕を抜けた。
「あー、ビックリした」
『破片も抜けたか、さすがスウ、エレガントだ』
「こういう事するなら先に言って・・・ビックリするから」
『サプライズだ』
「命に関わるサプライズは要らない」
懸念だった瞬間を過ぎて、私達は〈ギガント〉にさらに攻撃を集中する。
やがて〈ギガント〉も砕けた。
こうして私達は第2ステージを抜けたのだった。
◆◇◆◇◆
3人になった私達は、第3ステージに来た。
基地中央の巨大なプール(東京都サイズ)海じゃんもう。に浮いていた戦艦が浮上してくる。
まるで、街が浮かんでくるような光景だ。
マジでどうやって浮いてるの・・・。
「いや、大きすぎない?」
『・・・頭おかしいねぇ』
『本物は、想像を遥かに上回るな。奥が霞んで見えん――反重力コアは中央辺りにあるらしい。それを壊せば墜落するだろう、一気に駆け抜けるぞ』
『ラジャ』
「はいっ」
大量のトビウオ型のMoBが、巨大戦艦から飛んでくる。
もう、蜂の巣をつついたような騒ぎだ。
パワーアップのミサイルがすごく便利。
巨大戦艦に落下して、どんどん船体を破壊していく。
マリさんがユーに尋ねる。
『ねえ、この戦艦、滑走路があるから着陸できるよね』
『してどうする。戦闘機は飛んでいるから強いのだ』
『それはそう。――いや、さっきのスウみたいにしないといけないかもな時があるかもだから、一応憶えとこうと思ってさ』
『なるほどな。ボクも憶えておこう』
巨大戦艦の進行方向が私達と同じだから、進むのになかなか時間がかかりそう。
徐々にしか前に進めない。
『そうだ、この先、道が二手に分かれる。その先にいる中ボスのコアを同時に破壊しないと、反重力装置を覆うバリアが消えないらしい』
「なるほ」
『ところが通信妨害が入って、通信ができなくなる。なので同時に倒すのが難しい。そこで考えたのだが。とある歌を歌ってカウントしよう。数を数えるより正確に――』
「あ、多分大丈夫だよ。通信切れても」
『ん、どういう事だ?』
「私〖テレパシー〗があるんで」
見えてる間にしか〖テレパシー〗で繋げないけど、一度繋いでしまえば見えなくなっても繋がったまま。
『・・・・なん・・・・だと?』
『びゃははははははは』
マリさんが物凄い大笑いをした。
『いや、もう、ほんと(笑) スウちゃんは(笑) 何もかも破壊していく(笑)』
❝これはひどい❞
❝MoB涙目❞
『わかったじゃあ、スウの〖テレパシー〗でカウントしよう。中ボスが砕けそうになったらスウがカウントしてくれ。ルートでのコンビは、ボク&マリ、スウの組分けでいいか? 連絡を取れるのはスウだけだからな』
「うん」
『レディを一人にするのは心苦しいが、スウなら大丈夫だと信じている』
『スウちゃんだし、大丈夫だよ』
「任せて」
レディ・・・?
『しかし、もしも〖テレパシー〗が通用しなかった場合、歌を歌おう。中ボスが出たら、胡蝶のバタフライエフェクトOP主題歌「もう会えない君へ・・・」を』
「はい!?」
❝チョイスそれwww❞
❝マイルズwww❞
私は絞め殺されるような悲鳴を挙げる。
「なんでそれなの!?」
『ここにいる全員が、確実に知っているのを選んだだけだが』
しれっとしているマイルズ。
「それにしたって!」
『そろそろ分かれ道だな、ではスウ、幸運を祈る。ボクとマリは右を』
あ、これ、テレパシーが駄目だったら歌わないといけなくなる!
カラオケすら、行くの苦手なのに!
戦艦の中央に、巨大な壁にも見える構造物が見えてきた。なんだろう艦橋みたいにも見える。
私とマイルズ、マリさんはサムズアップをして分かれた。
もちろん〖テレパシー〗で繋いでおいた。
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