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ジェフ・マクレガー警部は、バラックや店舗が放つキツネ色の光にうっすらと包まれたシヴィックセンター駅の中央部をゆっくりと歩いている。前方に店が見える。ガスランタン、オイルランタンなど、様々な種類の照明器具をもった人々が、燃料屋の前に並んでいた。
燃料屋の前を通りすぎる。
本の修理屋が、読み古してばらばらになりかけているコミックの背部にキリで穴をあけ、そこに糸を通して修繕している。
薬屋が、瓶に入った風邪薬を、小さなビニール袋に小分けしている。
この朝も、どの店にも問題はなさそうだった。
調味料屋が声をかけてきた。
「やあ、マクレガー警部」
ジェフ警部は軽く片手をあげて挨拶を返す。
「やあ、デイヴ」
調味料屋デイヴは、ジェフ警部を手招きする。
「ちょっとこっちへ来てくれ」
ジェフは調味料屋デイヴに近づく。
デイヴは湯の入った小さなプラスチックの器をジェフに渡した。
「まあ、飲んでみて」
ジェフは器の湯をすする。思わず声が出た。
「美味い! コンソメか?」
調味料屋デイヴは、得意げな笑顔を作って言う。
「そうさ。回収屋がコンソメを卸してくれた。美味いだろう」
デイヴはそういうと、固形コンソメが数個はいった瓶を取り出した。
「20ドルでどうだ?」
ジェフは目を細めて言う。
「警察は薄給だって知っているだろう? こういうのは何かの記念日に買うよ。うん、でもこいつは素晴らしい味だ」
ジェフとデイヴが話していると、男がそばに寄ってきた。
男はジェフのすぐ前まできた。ジェフは男の顔を見る。見たことのない、知らない男だった。50歳くらいだろうか。ふさふさとした赤毛が特徴的だった。
赤毛の男はジェフに言う。
「警部さん、死体がある」
ジェフの表情は、突然固くなった。
「死体? どこにあるんだい?」
「下水道のノースプール地区だ。案内する」
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