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2049年
ジェフ・マクレガー警部は、地下鉄マルタの駅の一つ、シヴィックセンター駅の配電室の中にいる。その配電室はジェフ警部の自宅、兼、警察事務所である。
配電室の中では、2つのガスランタンが飴色の光を放っていた。壁に備えられている配電制御装置は、まったく駆動していない。部屋の中には、傷だらけのテーブルと椅子、生活雑貨や警備用具がしまわれている棚がある。床には小汚いマットレスが敷かれていた。
ジェフ警部は、古びて綿がとびでたパイプ椅子にすわり、欠けたカップの中の、熱湯に浸かった大豆をかき回している。大豆は、地下鉄マルタに直結するショッピングモール〝アンダーグラウンド・アトランタ〟の地下で栽培される数少ない植物の1つだ。
ジェフは十分に熱の通った大豆をスプーンで口に運ぶ。今日の大豆は塩と胡椒で味付けをした。格別美味くもなければ、不味いとも感じなかった。
ジェフ・マクレガー警部は45歳。身長は6フィート1インチ(約185cm)と大柄で、肩幅は広い。顔つきは、泉のように青い瞳が知的で、顎はがっしりとしている。眉毛は濃く男らしい。全体的にオオカミのような勇猛さもあり、物理学者のように知性的でもあり、聖者の慈悲深さも感じさせる。
朝食を済ませたジェフは立ち上がり、黒いジーンズの腰にデューティーベルトを装着する。テーブルに置いてある拳銃、ウィルソン・コンバット社のM1911クローン〝CQBライトレール〟を手に取る。この銃は、夜間に地上へ物品の回収にでる〝回収屋〟が見つけたもので、それは地下鉄マルタの警察本部に買い取られ、そしてそれをジェフが高値で購入した。グロックなら無料で警察本部から支給されるが、ジェフはその銃を選ばなかった。ジェフはウィルソンCQBのスライドを少しだけ引き、薬室に弾薬が装填されていることを確認する。そして安全装置をかける。シュアファイアのフラッシュライトが装着されているその銃を、ホルスターに収めた。
次に、マットレスの横に置いてある小型の銃も手に取る。その銃の名はT4。これもM1911クローンで、メーカーはナイトホークカスタム。T4のフレームはオフィサーズサイズ。スライドはオフィサーズより少し長く、コマンダーより少し短い。やはり、ナイトホークT4も薬室への弾薬装填を確認した。ジェフはナイトホークT4をジーンズの前面に差し込む。そして、T4の
ジェフは〝POLICE〟のエンブレムがついたタンの中折れ帽を被る。そして、ところどころに汚れのあるカーキ色のコートを着る。
彼はテーブルの上のガソリンランタンを左手に持った。もう1つのガソリンランタンの火を消す。
ジェフは配電室の扉をあけた。シヴィックセンター駅の複雑な匂いがジェフの鼻孔をなでる。
配電室から出たジェフは扉をしめ、冷たいドアノブの鍵を閉めた。
ジェフは歩き出す。
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