　今日は雨が降った。

　家のドアを開けたときに空の不機嫌に気がつき、少し迷って、傘も持たずに外に出ることにした。

　連日嫌なことがつづいて、なにもかもがうざかった。

　11月下旬の雨は冷たかった。ものの数秒で衣服に雨水が入り込み体温を下げ始めた。

　まだいくらも歩かない間に、これ以上は体調を壊すと悟った。

　でも少しだけ、このまま雨に濡れていたかった。体を震わせる冷たさが今だけは心地よかった。

　見上げると、落ちてくるような雨雲が空を覆っていた。

　顔にかかる雨が冷たい。この雨がぜんぶを流してくれている気がしていた。

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