DAY3

 チャリを立ち漕ぎする小学生が横を過ぎる。前についたカゴにトイプードルを乗せていた。クルクルとちぢれた毛が前からの風で後ろに流されていた。細める目は、風がまぶしいと言っていた。

 ピンクのヘルメットをかぶる小学生が遠くなっていく。

 過去に思いを馳せるとキリがないけれど、わたしはピンポイントであの小学生と同じくらいの歳の頃を思い出してみる。

 自分のことを思い浮かべようとしたけれど、脳裏によぎるのは優しかった母や父の顔だった。

 「もう長らく会ってないなあ」

 わたしの横をまた、車が一台ビュンと追い越していく。

 今年は顔でも見せるか。いや、見にいくか。うーん、なんか違う。

 ああそうか、わたし会いたいんだ。会いたくなったんだな。マッマとパッパに。顔を見たら喜んでくれるかな。よし、今年は地元に帰ろう。そう決めた。

 小学生の頃のわたしはいつも両親を困らせてばかりいた。だけど眉毛をハの字に下げながらも、両親は笑っていた。

 

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