MY LIFE

船里葵

DAY1

 暗闇の中、枕元から電子音が鳴り響き、鼓膜を通じ頭の中に雪崩れ込んでくる。

 パチ、と目が開いて、さっとiPhoneのアラームを止める。

 時刻は4時40分。

 体を起こし、天井から垂れている紐を引き電気をつける。乾いた発光は、目に染みる。

 屋上へ向かい物干しにかかる、作業着を回収してそのまま着替える。

 冷たい風に包まれながら、タバコに火をつける。メンソールのカプセルを噛みつぶして、点点と灯りはじめる街の明かりを肴に煙を楽しむ。

 吐き出した煙がくるくると、渦を巻きながら大気に溶け込む。頭が冴えてくるのがわかる。冷たい刺激が喉を通り抜ける。

 屋上の端に置かれた吸い殻入れで、タバコを揉み消して、リュックを背負い、ドアを開く。冷たい空気が流れ込む。腕時計をちら、と見る。5時10分を回るところだった。

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