第8話 なんか読み込むっぽい④

 

スキルの確認はこれで終わりだ、最後は★印の習得難度が高いスキル群についての確認である。チャチャっといきつつ、目ん玉ひん剥いて内容を見ていこう。



【語学マスタリー(250):

五大言語を完璧な形で即時習得します。語学に精通したあなたは、超マイナー言語にもある程度の理解を示せるでしょう。なお、五大言語全ての話者は世界中でも一握りですよ!】


【〈人語〉(50):

最も話者の多い言語である人語を即時習得します。地方のなまり、独特の発展をした人語にも対応。主に人族とその近縁種が使用し、稀に別種にも話者がいます】


【〈獣語〉(50):

獣語を即時習得します。犬系、猫系等の系統別のなまりにも対応。主に知能を持った獣族全般とその近縁種が使用し、稀に別種にも話者がいますが、なまりの種類が多く習得が困難と言われています】


【〈鳥語〉(50):

鳥語を即時習得します。主に知能を持った鳥族とその近縁種が使用し、稀に別種にも話者がいます】


【〈竜語〉(50):

竜語を即時習得します。主に竜族とその近縁種が使用し、稀に別種にも話者がいます。爬虫類族の話者と竜種の話者では発音に大きな差があるようです】


【〈水語〉(50):

水語を即時習得します。主に知能を持った水生生物とその近縁種が使用し、極稀に別種にも話者がいます(語学としての人気の問題です)】




語学キタ…!!これには悩むべきポイントが滅茶苦茶あるんだよな。


まずは、この異世界は種族ごとに「発声器官の作りに差がある」という点がキチンと反映されている世界だということが判明した。


〈鳥語〉や〈水語〉がある時点でこれは間違い無いだろう。発声器官が種族ごとに違うのであれば言語もそれぞれに存在する、という俺の持論が当たって嬉しいような、辛いような・・・。


実際問題、割とハードな世界が俺を待っていると見た。

これから俺が転生するのは、「言語の壁」により種族間の紛争が横行する殺伐とした世界である可能性が高い。知能を持った人以外の種族が何種もいる中で、共通語が無いという事は・・・考えただけでも恐ろしい。



救いと言えば人の言葉が〈人語〉の一括りで収まっていることだろうか。

斧術の心得のスキル詳細には「ドワーフ」という文言があったため、この世界にはエルフ等の別の人族がいるだろうということは想像に容易い。それらの人種それぞれにも言語の違いがあった場合はかなり厄介だった。


人族であれば、〈人語〉が話せれば、ある程度の団結が可能であるという情報は嬉しい。


これにより人族間の差別や小競り合いはあれど、骨肉の争いまでは中々発生し辛いだろうと考えられる。なんせ「話し合い」が可能なのだから。


また、【最も話者の多い言語である人語】という文言を見るに種族間の勢力図で言えば人族はかなり頑張っているというか繁栄しているんじゃなかろうか。





後は異世界転生モノで割と見かける「人として転生はしたが日本語が通じない」パターンが懸念点として考えられる。


種族、の詳細画面にあった【ただし、転生後の年齢や性別は今のあなたの状態のままです】の文言にある通り、転生というか転移?のような形で俺は異世界の地に降り立つ訳だ。


幼年期~青年期をすっ飛ばして生まれる俺。ちなみに33歳。言葉を学習する機会も無く、時間も無いこの俺。〈人語〉なり、自分が選択した種族の言語スキルを選択しなければ積むのではないか・・・?


さすが★印のスキル。これは重大である。

種族選択の暁には、間違いなくそれに対応する言語スキルを取得しようと心に決めた。あと、SPに余裕があれば第二言語をどれか選択するのも面白いよな。


他に気付いた事と言えば、語学マスタリーの詳細文には五大言語という言葉とマイナー言語という言葉が見られる。これは言語の数は最大5種類なんかではねーぞ、ということを表している。この世界の言語学も奥が深そうだ。


また、【五大言語全ての話者は世界中でも一握り】の文言から語学マスタリー自体はチート並みのスキルであるということも分かる。語学知識で異世界無双する俺・・・的なムーブも可能ってことだな。250SPは高いけども。





さて、言語スキルに足を取られたが、残りのスキル詳細も確認していこう。





【〈薬草学の知識〉(50):

薬草学の知識を即時習得します。植物全般の名称・特徴・利用方法の知識に富み、薬品の調合の技術にボーナス効果を得ます。町の薬屋さんくらいには、すぐになれると思いますよ?】


【〈鉱物学の知識〉(20):

鉱物学の知識を即時習得します。採掘・製造の分野の技術はありませんが、鉱物全般の名称・特徴・活用方法の知識に富みます】


【〈商売人の知識〉(20):

商売人の知識を即時習得します。国ごとの商品の相場、運送ルートの地理まで商売に関わる多くの知識を得ます。残念ながら、人種族以外のマーケットの知識は得られません】




まずは、終わった!これがスキルの全てか。少ないようで、文章も含めると確認に結構な時間がかかってしまった。よく読んだよ・・・自分を若干褒めてあげつつ、「知識」系のスキルの内容に笑みが零れる。これは、欲しいな。



〈薬草学の知識〉は冒険に役立つのはもちろん、冒険なんて辞めて薬屋として生きていく選択肢までゲットできる超優良スキルであろう。何よりここまでの性能で50SPと来た!これは買い得、激安、ブラックフライデーである。



〈鉱物学の知識〉はこの中では最も微妙ではある。こいつは一旦置いといて・・・



〈商売人の知識〉の文言には商売以上の垂涎の知識が眠っていると見れる!

【国ごとの商品の相場】とくればこの世界に存在する人の国の情報が、【運送ルートの地理】ときたら序盤から脳内に「地図」を入手したようなものだ。


貨幣の数え方から何も分からないクソバカの状態で転生する俺にとって、これは世界の常識にアクセスする今のところ唯一の手段だと考える。あと【商品の相場】が分かればボッタくりにも合わないだろうな。最高じゃん。


SP値が低いのはなんでだろうな、ちゃんと冒険しないと得られない知識ではあるけど、逆に言えば冒険してたらなんとなく分かるようになる程度の知識なのかもしれない。



よーーーーーーーーーーーーーーーーし!

ちょっと一息つくべ・・・いやあ色んなスキルがあったわ。俺以外の転生者の皆さまもきっと、これくらいは読んだんだろうけどさ。シンプルに長押しで読めちゃうような内容だしな。それくらいの試しも行わず転生作業を完了させる人なんか多分、ていうか絶対いないよな・・・笑(ちょっとだけ居てほしい)



つーか怖くてできなかったけど、スキル名を長押しじゃなくてタップしたらどうなっちゃうんだろうな。


即時決定されてしまう危険性とか、可能性としてぬぐえないよな~~~。この運営ならやりかねん。ECサイトでカートに商品を追加していくように、後から最終選択ができれば一番イイんだけどな。



フゥ、おっけ。

じゃあお待ちかね、種族のタブに移りますかね。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る