涙のあなたに一つの言葉を

ルイ

第1話

昼の教室に俺達は三人で弁当を食べてながら話していた


「なあ、紗季ホントにいかないのか?」


「何度も言っただろ?行かねえよ」

俺は禾本千夜なぎもとせんやに少しイラつきながらそういう


「なんでだよ、お前別に貧乏でもないしグループも自由に決めていいって先生に言われてんのに行かない理由なんかないだろ?」


「別に、めんどくさいってだけで良いだろ?」


「こら千夜、別に行かないって決めたのは本人なんだから文句言わない。」

そう言って椎菜美空しいなみくは千夜に頭を軽く叩いた


「いてっ!てか美空は何でそっちの味方なんだよ!?俺の彼女なんだから味方してくれたっていいだろ?」


「私はそんな理由で味方しないって千夜が一番知ってるでしょ?」


「でもなぁ....」



「それじゃ、話は終わりだな」

そう言って俺は残りの弁当を掻き込んで片づけを始めた


片づけを終えた俺は

「ちょっとトイレ行ってくる」

そう言って俺は教室を後にする




廊下を歩きながら俺は、はぁ....と溜息をつく

先ほど千夜達と言い争っていたのは年に一度の宿泊研修のことだ


俺と千夜が仲良くなったのは今年からのことなので去年はかかわりがなかった

そして来年は修学旅行となるので宿泊研修に行けるのは今年だけしかない

だから一緒に行きたいのだろう


だが、俺が言ってしまえば二人の邪魔になるかもしれない

そんな不安があった


元々俺は仲が良い人を作るつもりがなかった

最初は千夜に話しかけられても無視したりしていたほどだ

だがあまりにもしつこく話しかけられる過ぎてめんどくさくなり話すようになった

だから俺から千夜に話しかけに行くことはめったにないし美空と関わることもほとんどない

最初俺が無視していた手前今更話しかけに行くことなんて都合がよすぎる


我ながらめんどくさい男だ


そんなことを考えていると


「きゃっ!」

突然、前方から衝撃が走るとともに声がした


「あぁごめん....」

そう言って手を伸ばした瞬間、固まる


この学校にはある噂があった

この学校は髪を染めるのが禁止とされているのに一人だけ髪色が白の生徒がいる

それが同年代にいるということだけは知っていた

だけどあったのはこれが初めてだ


というかそれよりも.....


噂よりも俺は彼女の容姿に目を強く惹かれた

本当に人間なのかと思うほどに完成された顔と言っていい


やや幼げがあり、守りたくなるようなかわいらしい顔立ち

それを引き立てるような白のセミロングの髪型....


「あの?」


「あっ、すみません」

彼女の声で俺は意識を取り戻す


「えーっと手、いる?」


「あっ、ありがとうございます」


彼女は俺の手を掴み、立ち上がる


「ごめん、俺のせいで」


「いえいえ、よけられなかった私の責任でもあるので....」


「いや、ほんとにごめん」

そう言った後、俺はごめん行かない言いその場を後にする



その出会いが後に俺に強い影響をもたらすことを俺は考えもしなかった

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