第7話 価格目線
「……でもさ、気になることがあるんだよね」
絵夢は眉を顰める。
「ブリなら仕入と売上の差額が魚屋さんの利益になるでしょ。M&Aはどうなの? 現在価値百億円の価値の企業を百億円で売ったら売却者の利益は出ないし、買収側もメリットないじゃん?」
……流石。本質にずかずかと踏み込んでくる。
「例えば、絵夢が今晩どうしてもブリ刺身が食べたいとする」
「お刺身? 私、大好きよ」
「だろうな。食いしん坊な顔してるよ」
「ちょ……どういう意味よ?」
ぎゃーぎゃー騒ぐ絵夢を無視して続ける。
「どうしても食べたいときはちょっとくらい高くても買うだろ? 百g三百五十円でも買うかもしれない。逆に、たくさん在庫を抱えた魚屋は百g二百円でも売りたいかも。立場によって価格目線は変わるから、交渉で見極めが必要なポイントなんだ」
ぎゃーぎゃーがピタッと止まった。
「なるほど……売り手と買い手で、ブリに対する価値の目線が違うのね」
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