第三夜

 こんな夢を見た。

 

 階段の踊り場に立っていた。

 一目で奇妙だと分かる階段だった。

 上の階から来ている方が途中で途切れていて、踊り場までつながっていないのだ。

 空白になっている場所から、下にも階段があるのが見えた。

 僕は諦めて階段を下りることにした。

 

 そのすぐ下の階で、ここが学校だということを理解した。

 以前も学校の夢を見たことがあったが、そことはまた違う学校のようだった。

 長い廊下の片方に神経質なまでに整然と並ぶ四角い部屋は、間違いなく教室だった。

 ひとまず突き当りにある特別教室らしい部屋に向かう。

 そこは出入り口が黒いカーテンで閉ざされていた。

 その時の僕はそれをなぜか「入ってはいけない」というメッセージと捉えていた。

 引き返して再び階段を下りる。

 

 下りた先が一階だった。

 階段の終点がちょうど昇降口になっていた。

 学年ごとに昇降口が分かれているのか、それほど広くはない。

 校舎の周囲は、少なくとも昇降口の周囲は、砂利が敷き詰められているのが見えた。

 僕はそこで、自分がここから出たいわけではないと思っていることに気付いた。

 

 人っ子一人いない学校の中をひたすら彷徨い歩く。

 

 奇妙だと感じたのは、校舎に木造とコンクリートが混在していることだった。

 同じ建物の同じ廊下のはずなのに、ある場所では板張り、ある場所ではビニールの床シート――という風に。

 

 それから長いこと歩き回った末に、僕はパソコン室に来た。

 入り口付近で靴を脱ぎ、一段高くなっているカーペット敷きの中に上がる。

 窓にカーテンがかかっているが、天井の蛍光灯でとても明るい。

 ホワイトボードの手前にある、教師用の席に女性教師が座っていた。

 白衣を着ていることからして、理科系の教師らしい。

 僕はなぜか、教師は出ていくべき状況なのに、出ていかないことを疑問に思っていた。

 同時にそこでようやく、僕はここに来たかったのだということを理解した。

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