第37話 現状
――私ことアマテラスは、あの騒動から身動きができない状態にある。ちなみに、あの騒動とはウィッチ――じゃなくて、『アクニンダン』に洗脳されたアリサちゃんが街で暴れていた事件のことだ。
あの時に、アリサちゃんの体を操っていた魔法を
それでも新しく目覚めた――私のそっくりさんがくれた力は、それほどまでに規格外の力であることは理解できた。
アリサちゃんの暴走を止めて、彼女を休ませていると十分も経たない内に、『魔法庁』から応援の魔法少女達がやって来たのだが、それからの対応は私の今までの人生の中で一番疲れる出来事だった。
私がアリサちゃんを抱えていたせいで、応援の魔法少女達に武器を向けられて囲まれてしまい、おかしな素振りを一瞬でも見せたら即座に攻撃される。そんな緊迫とした雰囲気を、彼女達は纏っていた。
「アリサちゃんは、もう大丈夫」という旨の主張をしても、私の言葉は彼女達には聞き入れらず、戦闘が勃発する直前に。
私が所属する支部のトップである若林さんや、アリサちゃんの攻撃から私が庇った魔法少女達の証言があり、何とか私の身元とアリサちゃんの保護が約束された。
と言っても、私とアリサちゃんは魔法の使用を制限する腕輪が嵌められた上に、別々に複数の魔法少女達に囲まれながら連行された。
事前に把握していたのか、アリサちゃんとの関係については聞かれることはなかったが、私が見せた魔法の力。それに関しては、何度も話すように言われた。
しかし、直感的に語るべきではない。何故か、私はそう思った。
だから、私の事情聴取を担当した『魔法庁』の職員や魔法少女達には、あの魔法のことは「気がついたら、使えるようになった」という説明を繰り返した。
一回だけ、若林さんが事情聴取に来てくれたけど、どこから話が洩れるか分からないので、あの人にも詳しい話はできなかった。
若林さんはそれで納得してくれたが、最後に「君は厄介事を度々持って帰ってくるな……」と呆れられてしまい、苦笑することしかなかった。
そして、現在も『魔法庁』の本部にある狭い部屋に押し込まれて、決まった時間になれば別室で取り調べを受ける。そんな日々を送っていた。
(今の私の扱いって、何だか悪いことをした人みたいだな……)
もちろん私は小さいことは別にして、悪事に手を染めたことは一度もない。
いや、無視するには大き過ぎる罪が一つある。それは、妹が魔物に襲われて命を落としてから、家族と向き合おうとしなかったことだ。
そのせいで、『魔法庁』から両親に何かしらの連絡は行っていると思うが、両親は今のように数日不在であっても会いに来ることはない。
その事実に悲しいと思う半面、それは自分も両親と関わることを避けたことに対する自業自得と納得している。
それに、両親に向き合おうとする為の――前に踏み出す為の勇気は既にもらっている。
今の私にできること、やらなければならないこと。それらを整理した上で、動くべきタイミングを見計らう必要がある。
そう考えをまとめていると、所定の時間になったのか、私の個室の扉をノックする音が聞こえた。また取り調べで同じやり取りをすることを思うと、少しばかり辟易してしまう。
そんな私の気持ちを知ってか、知らずか。私に冷たい視線を向けてくる魔法少女が一人、部屋に入ってきた。
「時間よ、私の後についてきなさい。アマテラス」
「はい、分かりました」
その魔法少女の指示に、反抗することなく素直に従う私。どちらにせよ、魔法が使えないせいで、何もできないのだが。
いつもの取り調べ室に連行されると思っていたが、これまで見たことのない通路を辿って、地下にある一室に通された。
異様な空気を感じ取り、私は案内役の魔法少女に問いかける。
「……あの、ここは?」
「……本来だったら、答える義務はないんだけど、特別に答えてあげます。私達が所属する『魔法庁』を取りまとめる方々がいる部屋になります。
その方々が、貴女に直接会いたいということで。貴女が
――背後で、扉の閉まる音がした。
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