第10話事件に遭遇した過去

 最敬礼した小沢の右口角にナイフ傷が生々しく3針の縫合痕があった。

「貴様、あの時の・・・。」


言葉に詰まった勇二の脳裏に幽かな面影が小躍りしていたが、すぐさま我に返り憎しみの感情が溢れ還って来るのを耐え切り両拳を握り抑制していた。


「そうであります!何時ぞやご無礼いたしました!」


背筋を伸ばし反動で反っくり返って後ろに倒れそうだったが、何とか堪えていた。

が、右手がプルプルとしていた。

勇二を恐れていた為だ。

 

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