9 熾烈なる戦闘 / 苦無

「行動開始!」涼音が鋭く声を上げると、陽と翔が一斉に動き出した。

陽は忍びの石に触れて火遁の術を発動し、翔は騎士の動きを冷静に見据えて隙を窺った。


陽が炎の術で敵に火球を放つと、渦巻く炎が幽冥の騎士に迫る。

しかし騎士は軽々とそれを避け、返す刀で大剣を振り下ろす。巨大な剣が空気を裂き、彼らに迫る。


「こっちだ、来い!」翔が騎士の注意を引くべく前に出た。陽も再び火遁の術で視界を奪うように火の壁を作り出し、幽冥の騎士の視界を遮ろうとするが、騎士の動きは変わらない。


「今だ!」涼音が短く呟き、忍具の視覚サポートを使って騎士の動きを捕捉し、青い光を纏った刃を握りしめた。


幽冥の騎士はその動きを察知し、冷徹に大剣を振り返しながら暗いエネルギーを放った。霊刃は軽く弾かれ、涼音はわずかに後退した。


涼音が焦りを感じつつも、再び立て直そうとすると、幽冥の騎士は冷たく嗤いながら彼らに向かって闇の気を纏わせた。「この程度か?」


しかし、涼音は仲間たちと視線を交わし決して引かない決意を胸に再び立ち上がった。「全員で一斉攻撃だ!陽、火遁で視界を奪って!」


陽は再び炎の術で敵の視界を遮り、翔も忍具を駆使して煙幕を張り、幽冥の騎士に隙を作り出す。煙幕と炎が周囲に広がる中、涼音は霊刃に再び力を込め、騎士の鎧の隙間を狙った。


「今だ!」涼音が叫び、刃を騎士の鎧に突き立てると、霊刃は青白い光を発し、幽冥の騎士の鎧に深々と食い込んだ。彼の全身が震え、冷たい眼差しが揺らいだ。


「よくも…」幽冥の騎士は低く唸り、闇の力を放ちながら涼音を払いのけようとしたが、彼女の一撃は確実に彼を貫いていた。涼音、陽、翔が息を合わせて攻撃を加え続け、ついに幽冥の騎士の鎧に裂け目が走り、彼はその場に崩れ落ちた。



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苦無


カメラが戦場を滑るように移動し、リアルタイムで世界中に配信されている。

視聴者の目に映るのは、暗闇の中で揺らめく忍者たちの影。

闇に溶け込むような黒装束が、ほんの一瞬、刃の閃きと共に現れるたび、画面越しに緊張感が走り、視聴者たちの胸が高鳴る。

息をのむような沈黙が続く中、忍者たちが静かに呼吸を整え、鋭い目つきで敵の動きを捉えている様子が鮮明に映し出されている。


次の瞬間、浮遊カメラが捉えたのは、一人の忍者、清道が冷静に苦無を構え、音もなくそれを投げる瞬間。

刃の鋭利な光が、闇を切り裂くように画面上を走り、魔物の影に吸い込まれるように突き刺さる。カメラがその一部始終を余すところなく映し出すと、視聴者たちのSNSには興奮のコメントが溢れ返る。誰もが声を失い、彼らの動きに釘付けになっている。


さらにカメラがその目を拡げ、他の忍者たちが一糸乱れぬ動きで戦いに挑む姿を映し出す。

鎖鎌が巧みに操られ、魔物の巨大な腕を絡め取る様子がクローズアップされると、世界中の視聴者が息を呑むのが聞こえてくるかのようだ。

鎖がしなやかに空を滑り、鎌が魔物の肉を貫き、画面はその瞬間を静かに捉えている。忍者たちの一挙手一投足に合わせて浮遊カメラが視点を切り替え、絶え間なく流れる映像に世界中の視線が集まっている。


鋭い刃が光を反射し、魔物の咆哮がわずかに画面越しに響くたび、視聴者は自らも戦場にいるような錯覚を覚える。

浮遊カメラが捉えた映像は、ただの戦い以上のものを語っていた。忍者たちの戦いはまるで舞台の上の舞踏のように美しく、彼らの技術と覚悟がひとつの芸術として世界中の人々を圧倒していた。

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