5 北海道、蹂躙される 旭川ダンジョン
旭川ダンジョン
北海道の忍者たちは、車両に搭載された魔物分析AIと音波カノンを駆使しながら、魔物たちとの戦いに挑んでいた。
遠くの茂みで何かが動くたび、車内のスクリーンに魔物の姿が映し出され、AIがその属性や動き、弱点を即座に解析し、最適な戦術を示していく。
忍者たちはそのデータに従い、次々と魔物を討伐していた。
AIが提案する戦術が、彼らの動きに完全に同期し、敵の出現にも冷静に対応していたため、全てが順調に進んでいるように見えた。
森の奥から不気味な低音が響き渡り、木々が揺れ、辺りの空気が重く沈む。
魔物分析AIが突然警告を発し、スクリーンには「高危険度」の表示が浮かび上がった。
画面には、巨大な魔物がゆっくりと姿を現す様子が映し出されていた。
体は鋼鉄のように硬く、異様な黒い霧を纏っている。
AIが急速に魔物のデータを収集し、最適な戦術を表示しようとするが、AIの進言する戦術が次々と「無効」の表示に変わる。
忍者たちは一瞬言葉を失い、緊張に身を固くした。
リーダーが決断し、操作パネルに手を伸ばした。
音波カノンが再び起動し、高周波音が巨大な魔物に向かって発射される。
しかし、巨大な魔物はまるで音を感じていないかのようにまっすぐこちらに向かってきた。
黒い霧が音波を吸収するかのように広がり、魔物は視界の端で徐々にその威圧的な姿を大きくしていく。
AIが警告音を鳴らし続ける中、リーダーは冷や汗をかきながら次の指示を模索していたが、巨大な魔物は一瞬で車の前に立ちはだかり、鋭い爪を振り上げた。
車体に一撃が加わり、窓ガラスが粉々に砕け散る。
車が揺れ、忍者たちはシートにしがみつくも、巨大な爪が再び車両を叩きつけた。車の天井が凹み、車内は崩壊寸前だった。
暗闇の中、最後の力を振り絞り、車を捨てて逃げ出そうとするが魔物の圧倒的な速度がそれを許さない。
彼の目の前に巨大な影が迫り、鋭い牙が視界を覆い尽くした次の瞬間、彼の鼓動も静かに闇に消えていった。
-------------------
旭川ダンジョンから出現した魔物たちによって、北海道の大地は無残な姿に変わり果てていた。
広大な自然が広がり、四季折々の美しい景色が人々を魅了していた大地。
しかし、今その土地は異様な静けさに包まれている。
空気はひんやりとしているが、かつての活気は完全に失われている。
町々はもぬけの殻だ。
壊れた家々の窓からは、風が吹き込む音が響き、そこに住んでいた人々の姿はどこにも見当たらない。冷たい風が破れた屋根を吹き抜け、家々の中には魔物の足音だけがひびく。
かつて賑わっていた小さな集落も、今ではただの廃墟と化している。
人々が離れ、逃げた理由は明白だった。
魔物の群れが一帯を制圧し、その数は日増しに増えている。恐ろしいのはその無差別の襲撃だ。
かつて人々が集い、にぎやかな音が響いていた場所に、今はただ重苦しい沈黙だけが広がる。
その沈黙を破るように、空には漆黒の雲が垂れ込め、太陽を遮っている。
周囲の山々には、魔物が引き起こした災害の痕跡が深く刻まれている。
山肌は崩れ落ち、森は荒れ果て、もはやこの土地に人間の生活が息づくことはない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。