便所なき世界

催してきたぞ。

この先の公衆トイレだ。

それにしても飲み過ぎた。

飲み過ぎてしまった。

上司の誘いは断りづらいよな。

もう帰りたいのに、帰りた過ぎるのに。

やべ、漏れる、、漏れるぞ。

この先だ、すぐそこにある。

あれ、

ねえじゃん。

更地じゃん。

今朝まであったはずなのに。

いや、あったはずなのに。

よしよしよし、

少し先にあるはずだ。

歩こう、いや早歩きだ。

そう、ここの階段を降りてすぐのところに。

もう近い。

すぐそこだ。

あれ、こんな扉なんてあったっけ。

トイレがない。

もう限界値。

そこの店で借りよう。これは緊急事態だ。

空いてないじゃないか。

どうしよう。

もう我慢ができない。

そこの路地裏でしよう。

これは仕方がない。

チャックをおろして

「ちょっと君、ちょっと君」

やべえ、怒られる。

「こんなとこでしちゃだめだろ」

ごめんなさい、でもトイレがない。

トイレがないんですよ。

「公衆トイレでしないと」

空いてなかったんです。すいません。

「空いてるじゃないか、公衆トイレ」

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