第8話 昼休み

 今日のお昼はコンビニのツナマヨおにぎり。いつもはお母さんがお弁当を作ってくれるが、今日は特別だ。ペリペリと包装を剥がして、おにぎりの形を整えたらガブっと一口。やっぱりツナマヨはうまい。


  「あ!のんちゃんいいな~!ツナマヨ」


「トモちゃんだって昨日エビマヨ食べてたじゃんか」


  「のんちゃんはエビマヨ派?ツナマヨ派?」


「う~ん、、、ツナかなぁ。」


  「マヨかかってたら何でもうまいよね~」


「分かる~」



もぐもぐしながら考える。あの委員会の日からもう二週間たった。


あれから西田さんとは一言もしゃべっていない。そもそも委員会以外では話す機会も接点もないので、どちらかが話しかけに行くしかない。しかしながら、ご存じの通り小心者(陰キャ)の私にはそれが出来ない。何しろあの日初めてしゃべったのだ、次の日から急に友達ヅラできない。おはよう!と一言話しかけれればそれで良いのに。話す前から緊張というか気まづさというか感じてしまう。

もしかしたら、怖いのかもしれない。西田さんがそんな人じゃないって分かってるけど、もし無視されたらと考えてしまう。それに彼女はいつも一人でいるし、単独行動が好きなのかもしれない。でも一緒に帰ろうって言ってくれたしなぁと考えてしまう。


トモちゃんだったらな―と思いながらトモちゃんの顔を見る。何にも考えて無さそうなポケーっとした顔が羨ましい。



  「どしたの?」


「別に、もうすぐ体育祭だなーと思ってね」


  「だね~。同じクラスで良かったよぉ~」


「トモちゃん広報委員だから実況とかするの?」


  「実況は放送委員ねっ!あたしらはポスターとしおり担当だから!」


「へー、しおり出来たの?見たいなあ。」


  「たぶん明日ごろ配られるよぉ~」



一組は赤組、二組は白組。これは西堀高校の伝統だ。

すでに対抗意識が芽生えているのか、体育祭が近づくにつれクラス同士でピリピリとした雰囲気が流れている。たかが体育祭と思いつつも気が入るのは、学生にとってそれほど重要なイベントなのだろう。

ちなみに私は運動が苦手なので、体育祭自体が敵である。リレーなんかは一度の失敗も許されないし、応援合戦で下手な動きはできないし、そもそも集団行動が嫌いだ。

それに大事な休み時間も潰される。まあ一緒に授業も潰れるが。


「体育祭って来週の土曜日だよね?」


  「うん、前日準備は金曜にあるよぉ~」


「まって、振替休日ってあるよね?」


  「ん――、、、、ない。」


まさかとは思ったが、振替休日がないだと?中学の時はあったのに。

だったら金曜日に体育祭してくれ、私たちから休日を奪わないでほしい。


「そんなぁ―――」


  「でも金曜日は午前中で帰れるよ」


それはちょっと嬉しい。それにしてもそんな情報をどこから仕入れてくるのだろうか。入学してまもないが、顔の広いトモちゃんなら何でも知ってそうだ。







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