第6話

「坊ちゃん。今日は私が特別に料理を振舞おう」

「ちょっと!ダーリンに料理するのは私の役目なんだから勝手な事しないで!」

「何をかって決めている?それは其方が勝手に自身で決めただけでは?」

「うっ」

痛い所をつかれたようだ。

「あの、まだ名前を伺っていないので、伺ってもよろしいですか?」

「好きに読んでくれて構わんよ。私に名前など無い」

この方もすーちゃんと同じ感じだ。

「貴方もすーちゃんと同じく、別の生き物から擬人化したのですか?」

「その通り。私はカタツムリから人の形になったのだぞ」

卒然、顔が近くなる。

「カタツムリと聞いて、私の事を思い出したか?」

「確か、小学校の頃、ゆっくり進むかたつむりに向かって頑張れと応援した事が

ありますが、もしかするとそれが貴方ですか?」

「よくぞ覚えていてくれたー!

引き寄せられて、抱擁される。

すーちゃんと遜色ないいい香りがする。

「ダーリンから離れなさいよ!」

「頼む。今は坊ちゃんを渡しに貸してくれ」

真剣な頼みに、すーちゃんは渋面になる。

「仕方ないわね。少しだけよ」

「礼を言う」

抱擁されたまま、僕は彼女の名前を考える。

(かたつむりだから、何にしようかな?)

「坊ちゃん、名前は決まったか?」

「むーちゃんでどうですか?かたつむりのむをとって」

「うむ、諾う。しかし、ちゃん付けではなく、呼び捨てを希望する」

「呼び捨ては難しいので、さん付けで差し支えないですか?」

「うむ、結構だ」

「はい、そこまで」

すーちゃんが僕とむーさんを引きはがした。

「ダーリン♡今日も美味しいご飯作ってあげるね☆」

「先ほど私が料理を振舞うと告げたが」

「却下よ、そんなの」

「じゃ、じゃあさ、今日は三人で外食行きましょう」

不穏になってきたので、なんとかいさめる。

「仕方ないわね、ダーリンに免じて聴許してあげる」

「恩に着る。よしなに頼む」

なんとかおさまった。

僕達は近くのファミレスに向かう事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る