第11話:イケメンのクラスメイト


翌朝目が覚めると部屋の電気はつけっぱなしだった。

手探りでスマホの在処をつきとめ、時間を見る。

 

(え?!やばっ!もうこんな時間か!アラームセットし忘れてたのか!)


急いで顔を洗って歯を磨き、身支度をしてパンタを連れて家を飛び出した。


 

「ふぅ、間に合った」


教室の窓際、一番後ろが僕の席。

リュックを椅子の後ろに掛けていると、前の席から渡辺くんが振り返る。


「ゆーが、おはよ!今日は珍しくギリギリじゃん」

 

187センチの高身長、清潔な短髪短髪でクラスいちのイケメン。

気遣いのできる優男で性格◎。話題も豊富で空気も読めるイケメン。

頭も良くて成績はトップクラス、中間テストは3位だったようだ。

そして、1年にしてバスケ部期待のエース。もちろんクラスどころか学年でもカースト上位の人気者。

誰とでも分け隔てなくなく話す良い人で、現に僕のような底辺モブキャラボッチにも気軽に声をかけてくれる。


「うん、ちょっと目覚ましをかけ忘れて起きるのが遅くなって」

と返す。


教室のあちこちからは、

渡辺くんってばまた浅見くんに声掛けてる。優しいよね。

たまたま席が自分の後ろだからってあんなボッチに構うことないのに。

モブの相手までする渡辺くんって性格までイケメンよね♡。

などなど、ヒソヒソ話が聞こえるが気にしない。全くもってその通りなのだから。


「ゆーがは英語やってきた?多分俺ら今日当てられるよなぁ?」

と、渡辺くんにも聞こえているだろうにお構いなく話を続けてくれる。


「絶対やらなきゃ!と思ってバイト終わりで速攻で帰ったんだけど…」


「するのを忘れた、と??おもろ!」

 

顔を崩しながら腹を抱えて笑った。イケメンはどんな顔でもイケメンだ。


「そんなに笑うことないじゃん。そういう渡辺くんはやってきたの?」


「もちろん!」

とノートを開くが…真っ白。


「してないんじゃん」


「おうよ!一緒に怒られようぜ!」

とサムズアップ。


「うん、わかった。心強いよ!ありがとう!」

と頷く。


「今日もパンタに乗ってガチ漕ぎしてきたんだろ?前髪が汗で張り付いてるぜ?」

と僕の額を指さす。


「あ、ありがとう!」

とポケットからハンカチを出して額を拭いていると前の扉から先生が入ってきた。

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