第276話 タバスコ

「貴方の世界、日本で有名な異世界への契約と言えば?」

「まぁラノベで言えば、トラックに轢かれる?」

「それは契約前。神との契約の話」

「あぁ、そうか。

 え~と、異世界に送る。その代わりにチートをくれる」

「そうね。その後はどうする?」

「異世界に行って、チートを使って魔物やモンスターを狩って生活?」

「それが正解。あの子もそういう契約をしている。

 でもカズマはそういう契約をしなかった。何故?」

「何故って? だって家から出たくないじゃん」

「そこが問題なの」

「ああ、魔素を放出出来ないからだろ」


やっぱり俺の契約に問題がある話じゃないか。

神様を拘束してまで話す事じゃないんじゃない?


「この話を基本として覚えておいて。

 じゃあ話は変わるけど、タバスコって知ってる?」

「タ、タバスコ?! いや、知ってるけど、いきなり何だ?

 あの神様にでも食べさせようってか?」

「違う!

 タバスコそのものの話! あれ、使った事ある?」

「パスタやピザ食う時に使うな。家にもあるぞ」

「どうやって使う?」

「どうやってって、普通に振って出すけど」

「何回も振るでしょ?」

「そりゃ1滴づつしか出ないからな」

「沢山出したいと思ったらどうする?」

「沢山振る?」

「もっと早い方法は?」

「え~、クイズかよ。

 う~ん、瓶を割る?」

「正解」


この話、何の意味が?

タバスコの食べ方?


「ここまで言えばピンと来たでしょ?」

「え? タバスコの辛さの話?」

「気づけよ!

 タバスコは魔素で、カズマがタバスコの入っている瓶だって事!」

「あっ、たとえ話なのね。

 え~と、って事は、普段はタバスコを1滴づつ出している状態って事か?」

「そういう事。じゃあ一気に出すには?」

「…………俺を壊す?」

「正解」


怖い事をサラっと言われた。

なるほど、俺の体内にある魔素を全部出すには、俺を壊すのが一番早いのか……。


「さて、最初の話に戻るけど。

 そういうラノベが流行ってる理由って判る?」

「ラノベの理由?! え~と、人気があるから?」

「不正解。実はそれも神の仕事なの」

「仕事で執筆してんの?!」

「書くのは人間! 思考を操作というか誘導してるの!」

「そういう話が好きになるように?」

「そう。何故か判る?」

「今回みたいに異世界に行く事になった時に、話をしやすくする為?」

「正解。

 あの子もすぐに行くと言い出した。簡単ね」

「行く為の下地作りか。

 でもチートとかそういうのは?」

「大事よ。チートをもらわないと、狩りに行かないでしょ?」

「そりゃ危険だからね。

 …………あっ! 何となく判ってきた!!」

「その考えが正解。勿論普段は思考を誘導して、その考えにはならないようにもしているんだけど」


魔素を大量に持った人間を異世界に送り込む。

その為に、ラノベ等で勉強させておく。

異世界に行く人間にはチートを与えて、モンスター狩りをさせる。

チートが無いと安全な所から動かないから。


ラノベでは強者に対しても向かっていく。

チートがあれば勝てるから。そういう設定だ。



何故危険な所に行かせるのか。



それは……死んで欲しいから。



死ぬ事で魔素を放出させたい。



つまり、俺には死んでもらいたかった……。

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