第245話 ラスボスかな?

一ヶ月後、とうとう国から連絡が来た。

2国が双方で俺の土地と認定したらしい。

こんな簡単で良いのだろうか?

いや、それだけドラゴンが驚異なのだろう。

普通なら罰ゲームだよな。


これを聞いて、シロ達は隣に行っている。

ドラゴンからドラゴンの住処の事を聞く為だ。

話すのかなぁ? 重要情報じゃね?

そこが繁殖地とかなら超重要施設だと思う。


な~んて思ってたら違った。

ドラゴン本人がこちらに顔を出し、語り始めたのだ。


「あそこは前に話した、私の居た里です」

「ん~、何か聞いたような気もするなぁ」

「ほら、アレですよ! シロさん達に負けて帰ったら、追い出された場所!」

「ああ! ネコに負けて帰ってきたとか言われたヤツか!」

「そうです! なので、今回は好きにしてください!」

「えっ?」

「ボッコボコのギッタギタにしてやってください!」

「いやいや、自分の里だろ?」

「人の話を聞かない愚か者は、思い知れば良いのです!

 世の中には自分達の知らない事が多々あるという事を!!」


よっぽど悔しかったんだろうな。

どえらい事を口にしている。

だが、落ち着いて欲しい。攻めに行く訳じゃないんだから。


「落ち着け! 戦争するんじゃないんだぞ?」

「大丈夫です! どうせあいつらは話なんか聞きませんから!

 『話を聞いて欲しくば、自分と戦って勝ってみせろ』みたいな事を言ってきますよ」

「あ~、ありそう」

「そして勝つと『そいつは我々の中でも最弱。勝ったからと良い気になるな』とか言います。

 そして『次は私が相手だ!』と言って、結局全員と戦う事になりますから!」


何、そのラスボスの所に到達したような展開は。

そんな使い古したテンプレのような展開になるのか?


「なので、最初から全員をボコボコにした方が早いです!」

「いや、ちゃんと話するから」

「え~、そうですか~? ボコった方が早いですよ?」

「いやいやいやいや」

「シロさん達もそう思いますよね?」

「私達は主に従います」

「でも、着いた途端に、絶対にカズマさんをバカにしてきますよ?」

「……それは問題ですね。

 到着早々、全員のしっぽを切り落としますか?」

「姉者、節穴の目を最初に潰すのはどうでしょう?」

「えー? 羽が良くないー? 売れるしー!」

「口。不快な言葉、出なくする」


おいっ! ドラゴン! 卑怯だぞ!

シロ達を味方につけるなんて!

そしてシロ達! 非道な事を言うのは止めなさい!


「とにかく! 最初は穏便に行くから!

 話し合い! は・な・し・あ・い! 判った?!」

「……了解しました」


この流れ。

俺、行かないとダメだよな。

完全に任せていたら、里がボロボロになりそうだ。


「そうだなぁ、じゃあ明日行く事にしよう。

 そうだ、ドラゴン。乗せていってくれないか?」

「任せてください!」


ドラゴンに乗るというロマン。

とっても素敵やん?

ファンタジーなら定番だ。

間違いなく風や気圧の問題が出てくるとは思うけど、俺の体じゃないし。

VRの体なら、持ちこたえるだろう。

メガやトウの魔法もあるしな。


今思ったけど、ドラゴンに乗ってる人って、トイレとかどうしてるんだろうね?

もしかして……空の上から垂れ流し? それとも我慢?

寒いから近くなると思うんだけどさ。

トイレの度に、降りるのもアレだろ。場所とか必要だろうし。

あっ、壺を用意しておいて、その中に、とか?

でもドラゴンも、壺の中にとはいえ、自分の上でトイレされるとイヤだろう。

う~ん、謎だ。

俺はVRで良かったよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る