第180話 頑固とこだわり
個人的な意見になるが、こだわりと頑固は違うと思っている。
なので、来たくないと言ってる人は来なくても良いんじゃないかな?
「他の人で良いんじゃない?
その人が開発した技術で、その人しか出来ない訳じゃないんでしょ?」
「そ、そうなのですが……その、師匠ですし、腕は一流なので」
う~ん、「腕は一流なので」と言うけどさ、客を選ぶなら一流じゃないと思うんだ。
そりゃ客と店の立場は同じだと思うよ。
だから客が店を選ぶように、店が客を選んでも良いと思う。
ただ、自分のこだわりだけで、客を選んで良いのか?とも思う。
俺もテレビでしか見た事無いから、偏見かもしれないけど。
例えば、有名なのは飯屋だよね。これは経験がある。
食べ物を出して「何もつけずに食え!」って言うのはどうかと思う。
「まずは何もつけずにお召し上がり下さい」と言えないのか?
後、100人が同じ舌じゃない。
味覚障害で無い限りは、感じ方も違う。好みもある。
子供の頃は野菜とか嫌いなのと一緒だ。
それを「美味いから食え! 美味しくないだと?! 帰れ帰れ!!」と言うのはどうか。
そういう料理人は、舌と腕は一流かもしれないが、人間としては三流だと思ってる。
味の判らないヤツが偉そうに言うな、とか言われそうだけどさ。
そもそも、こっちはそんな店はお断りだ。誰が行くか。
おっと、接待と言われて連れて行かれた時のトラウマが……。
とにかく。来ないなら来ないで良いじゃないか。
「来たくない人を呼ぼうとしなくても良いです。村の為にもなりません。
他の人にしましょう」
「ええっ?! でも……」
「その人は村内の人と仲良くなれますか?
なれないなら、不和になるだけですよ?
そうなると判っていて呼ぶのであれば、貴方も出ていってもらう事にもなりかねません」
「そ、そこは私が責任を持って!」
「いやいや、そういう問題じゃないです。
本人に仲良くしようという気がないなら無理です。
と、いう事で、その人は却下です。違う人にしてください」
「……そう言われても、知り合いは他に居なくて…………」
これは想像だが、その師匠は王都でもあまり好かれていないのでは?
弟子が他の人と交流が無いってのは、そういう事じゃないのかなぁ。
後、こういう時に「自分が責任を持つ!」っていうけど。
不和になった責任ってどうやって取るの?
この場合、師匠を殺す? 損害金を払う? 鍛冶師を辞める?
どの方法を取っても意味がないと思う。
損害を出したなら手出しの金で補填出来るが、感情の事だったり生死に関わる事なら補填は不可能でしょ。
こういうのって日本でもあるよね。
責任問題出すくらいなら最初から危ない橋を渡らなきゃ良いのだ。
「貴方以外の他の弟子はどうです?」
「多分、爪の加工は無理だと思います」
「そうですか」
う~ん、俺も知り合いはいないし。
どうしよう。
ドラゴンに諦めさせるのが早い気がしてきた。
でも、それで儲けている村民も居るんだろうなぁ。
あっ、そうだ。
「王様に頼みますか」
「……へ?」
「ほら、この国の王な訳じゃないですか。その辺は自由になるでしょ」
「陛下に頼んで師匠を派遣してもらうのですか?!」
「違う違う。師匠は無視。必要無い。もし後から行っても良いと言われても断るから。
そうじゃなくて、他の一流の鍛冶師を紹介してもらうって事」
「ええ~~っ!」
驚くほどの事か?
その方が確実じゃない?
中にはもしかしたら「ドラゴンが扱えるなんて! 行きます!!」って人も居るかもしれないぞ?
村暮らしの方がのんきで良いって人も居るかも。
「とにかく。来ないって言ってる人に拘る必要はないよ。
誰かを紹介してもらおう。もしかしたら、技術を習えるかもよ?」
「……………………お願いします」
習えるってのが効いたか?
まぁ、でもこれでやっかいな人間が来る事は無いだろう。
ちなみに、世間話で聞いたんだけど。
やはり種族による上手い下手はあるらしく、ドワーフは上手いらしい。
逆にエルフはヘタな人が多いそうな。
じゃあ、エルフだからと鍛冶するなとか言うのか?と聞いてみたんだけど。
そしたら「そんな事は無い。種族による所はあるだろうが、結局は本人の努力。良い物を作れば認められる」との事。
「『エルフは鍛冶が苦手だから鍛冶するな』って? そんな事言うヤツこそ、ヘタですよ」なんだって。
エリート意識は無いようだ。
もしエルフの鍛冶師が来ても安心だね。
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