第169話 シロの回。売りに行く1

『シロの回。売りに行く1』


冒険者ギルドにやってきました。

今回はトウが一緒に来ています。

まだこの街を知りませんからね。ついでに登録しても良いかもしれません。


早速買取カウンターへ、と言いたい所ですが、ギルドへ来たらシャティさんの所に行くように言われています。

そう言ったのはギルドマスターです。

主が了承したので、破る訳には行きません。


しかしいつもシャティさんは居ますが、休みを取っているのでしょうか?

主が恐れるブラック企業というやつでしょうか?

「俺なら即辞めるね!」と言うくらいですし。

もしそうなら、ギルドマスターを脅しても改善させる必要がありますね。


「こんにちは、シャティさん」

「あっ、シロ様! お疲れ様です。いつもの分ですか?」

「いえ、今日は別件です」

「別件……? 頭にカエル……? え~と、イヤな予感がします!

 ちょっと待ってて下さい! ギルドマスターを連れてきます!」

「いえ、シャティさんと買取カウンターに行くだけで良いのですが?」

「いえいえ! 犠牲者、いえ、きっと驚くような物でしょうし、一緒に見た方が良いかと!

 その方が話が早いですから!!」

「シャティさんがそう仰るなら、それで良いです」

「ではお待ちを!!」


走って行かなくても良いと思うのですが。

ではゆっくりと待ちますかね。


あぁ、こら、トウ。

冒険者をイジメるんじゃありません。

えっ? カエルカエルと煩いから?

そういう時はですね、個人を攻撃してもダメです。

全体を威圧するのです。

あぁ、そうそう、上手いですよ。

ほら、誰も声を出さなくなったでしょう?

そろそろ、シャティさんがギルドマスターを連れて来るので止めなさいね。


「お待たせしました!」

「いえ、そんなに待っていませんよ?」

「ギルドマスターが部屋を出る前に『寒気がする!』と言ってなかなか出てこなかったので……」

「風邪でしょうか? 早く帰る事をオススメしますね」

「多分、違うと思うんですけど……まぁ、良いです!

 ささっ、行きましょうか!」

「はい、お願いします」


シャティさんはギルドマスターの手を引いてます。

何をそんなにビクビクしているのでしょう?

もしかして、借金でもして借金取りから隠れているのですか?


「それでシロ様、何をお持ちで?」

「これです。売れますか?」


テーブルにドラゴンの脱皮した皮を出しました。

皆さん、何故かホッとしてますね。


「これは何かの……皮ですか?」

「はい、そうです」

「この手触り……知ってる気がするなぁ…………えっ?! ま、まさか…………」

「ギルドマスター? どうしました? 知ってるんですか?」

「えっ?! 誰も知らないの?!」

「えっと、皮だな~くらいですけど」

「ほら、思い出してみなよ! お城に行った事あるでしょ!

 近衛兵の服装を!!」

「近衛兵? 確かお城の中では金属の鎧を着てなかったような……。

 あっ、思い出しました。革鎧でした!

 ……えっ? あの革鎧の素材ですか?」

「そうだよ! 多分間違いない!!」

「へ~、近衛兵に使われるくらいの素材なんですね」

「あのね、違うから」

「何がです?」

「誰も判ってないようだから説明するけど、近衛兵は式典以外では金属の鎧は着ないんだ」

「へ~」

「あれは式典用で派手に作っているんだよ。普段も戦時中も着るのは革鎧だ」

「そうなんですか。でも何でです?」

「この皮はね、魔力を流すと硬くなる性質があるんだよ。

 金属の鎧よりも硬くね。しかも金属の鎧よりも軽量。便利だろ?」

「確かに。凄い皮ですね。シロ様、何の皮なんですか?」

「ドラゴンの脱皮した皮ですよ」


「…………ははは、聞き間違いかな?」

「…………ふふふ、ギルドマスターったらなんて聞き間違えたんですか?」

「…………ドラゴンって聞こえたんだよね~」

「…………ふふふ、私もです」

「合ってますよ。ドラゴンです」

「「……聞き間違いじゃなかった!!」」

「買い取って下さい。あ、それとトウの登録をお願いします」

「軽く言われた! しかもカエルを登録しろって言われた! またカズマさん増やしたのか!!」

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