第109話 マンドラゴラ?ゾンビ?

これが有名なマンドラゴラなんだろうか?

人間ソックリとか、服着てるとかは初めてだけど。


頭に付いていた草(?)は結んでいたヒモを外すと萎んで枯れてしまった。

そして、横にあった苗が蕾を付けた。

連携してる? 根で繋がってるとか?


「おい、佐野。これ何なの? って佐野が居ない!」

「佐野さんなら、家の中に戻りましたよ」

「は? トンデもないものを出しておいて、自分は家の中に避難するの?」

「それを私に言われても」

「そりゃそうか。よし、戻って文句を言おう」


家に向かおうとすると、ドえらい事が起きた。

マンドラゴラ(?)が立ち上がったのだ!

そして、顔が俺ソックリに変化した!

そのままこちらに向かって歩いてくる! ホラー!!


「お、おい! 動き出したぞ!」

「どうしますか? 排除します?」

「ま、待て待て。よく考えたら結界の外じゃないか。

 入って来れないだろうから、様子見だな…………って結界を突破したぞ?!」

「どうします?」

「と、とりあえず足止めしてくれ!!」

「判りました」


シロと戦闘になったが、マンドラゴラは強い。

さっきまで緩慢な動きだったくせに、俊敏な動きでシロを躱している。

佐野はこれを知ってた? だから逃げ帰った?!


とにかくシロが抑えてくれている間に、事情を知っているであろう佐野を捕まえなくては!

多分家の中に居るはずだ。さすがに日本にまで逃げては無いと思う。


家の中に戻ると、佐野はリビングに居た。

と言うか、あのVRシステムを装備してる。

何やってんの? 人の家の電気まで使って。

肩を持って揺すぶってやった。


「おい! 遊んでるんじゃないよ!

 あのマンドラゴラって言うか、ゾンビみたいなのが襲ってきてるんだぞ!

 リアルバイオ○ザードは望んでないんだよ!!」

「ちょ、ちょっと揺らさないで!

 今外すから!!」


VRを外した佐野。

凄く良い笑顔をしている。それがムカつく。


「あれはね、このVRと連動しているんだよ」

「は? 何言ってんの?」

「本当だって! その証拠に窓から見てみなさいよ。

 今は外したから、動いてないでしょ」


窓から見てみると、確かに動いていない。

と言うよりも、事故にでもあったみたいに崩れ落ちている。

それをシロがツンツンとしている。


「マジで?」

「マジで。あれは結界も自由に通過出来るの」

「へ~。で、何でこんな物を?」

「神様に頼んだから」

「そういう事を聞いてるんじゃない! 何の意味があるんだって事だよ!」

「魔素を放出するためよ」

「はぁ? どうやって?」

「これを付けていると、魔素を吸収するの。

 で、アレが魔素を放出するのよ。そして移動出来るから、あちこちにバラ撒く事が可能って訳」

「なるほど。送受信してるのか。

 だけど、それならさ。あんな感じの植物を世界中にばら撒いてさ。

 で、俺が何らかの物を使って送信すれば良いだけじゃね?

 その方が確実に沢山の魔素を放出出来ると思うんだけど」

「それは神様にも言われたわ」

「そうだろ。で?」

「私が却下しました!」

「はぁ?! 何でだ?!」

「これがあれば、私も自由にこの世界を旅する事が出来るから!」

「ぶっちゃけた!!」

「まぁ、簡単な仕組みなので、神様も作れるみたいだったし。

 世界にバラ撒く方法は作るのに時間がかかるみたいだよ?

 それも作るとは言ってたけど」

「それが出来ればそれで良いじゃないか」

「完成に人間の時間で70年くらいかかるらしいけど?」

「さすがに俺も死んでるわ」

「とにかく! 私がウロウロする為に、ある意味神様を騙して作ってもらった物なの!」

「……お前。神様が何処かで聞いてたらどうするんだ? 天罰が下るぞ?」

「今頃、頑張って作成中だと思うから大丈夫!」

「確信犯かよ!」


どうやらアレを使って魔素を放出するのが、俺の日課に加わりそうだ。

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