第106話 インフラ

「佐野、インフラ整備をしたいってさ」

「ん? 何で私に降るの?」

「詳しいかな、と思って」

「一般人クラスの事しか知らないわよ!」

「それでも良いんじゃない? 日本とは違うんだし」

「こういう会話も聞かれたらいけないんじゃない?」

「いや、どうも佐野と喋っていると、日本語が聞こえるらしいんだ。

 だからバレないので大丈夫」

「そうなの? って言われてもインフラ整備って何よ」

「さあ? 公共事業でも増やしたいんじゃない?」

「ならまずは道路じゃない? ここから見ても、道がさぁ……草が無いだけ?」

「アスファルトを引けと?」

「あれ、何で出来てるんだろうね?」

「さあ? 石油?」


アスファルトはダメだな。

よく考えたら、道路工事でローラーが動いてるのを見たことがある。

あんな物は無いだろうし。


「あっ、セメントはどうだ?

 確か地球でも昔からあるんだろ?」

「そうね。確かローマでも使ってたみたいだし。

 後はレンガね。あれも古かったはず」

「じゃあ説明してあげてくれ」

「だから何で私が!」

「俺は飯の用意するから」


そう言ってキッチンに逃げた。

上手く解説してくれるだろう。




レンチンして戻ってくると、王様は感心した顔でいた。

どうやら上手くいったようだ。


「どうだった?」

「よく考えたら作り方はどっちも知らなかったわ。

 だから苦肉の策で、石を切って、地面に並べる事を勧めておいたわよ」

「石畳か」

「そう。それだけでも違うでしょ」

「確かに」

「シロちゃんに聞いたら、王都では既にしてあったらしいけど。

 でもそれはメインの道路だけで、周りは違ったらしいわ。

 なのでついでに高速道路も勧めておいたわ」

「高速道路?」

「正確には専用道路ね。馬車しか通ったらダメなの。

 すれ違える程の幅で作り、左側を通行するようにして、事故を減らすのよ」


なるほど。

高速道路と言うよりもバイパスだな。

これで各都市を繋げば、流通が増えるね。

定期バスでも通せば、人も行き来しやすくなるね。

まぁ、実行するかどうかは王様が決める事だし、提案は自由だ。


しかし道路とはね。

俺はインフラと言われたら上下水道くらいしか思いつかなかった。

違う視点って大事だよね~。




王様は飯を食べて帰って行った。

人が来ているからと今日は遠慮したのだろう。

いつもなら酒盛りになるはずだからね。

あっ、まだ書類作ってないんだけど……。


王様が帰った後、タイミング良くインターホンが鳴った。

何処かで見てたのか?と疑う程のタイミングで。

この音は日本側だ。来客か?


「はーい」

「すみませーん、宅急便でーす」


宅急便か。

あれ? 何か注文してたっけ?

まぁ良いか。受取に行こう。


「どうも~。神速宅急便です。お荷物をお持ちしました~」

「え~と……ペンギンですよね?」

「えっ? 生き物は配達してませんけど?」

「いや、貴方が」

「私? 私は下級天使ですよ?」


うん、ツッコミたい事だらけだ。

まず配達員がペンギン。

そしてペンギンが下級天使。

神速宅急便という名前。これ神様限定の宅急便じゃね?

最後にペンギンが持っている箱。それゲーム機の箱だろ。XBO○ONEに見えるんだけど。

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