四葉のお姫様は希望の配達人!☆1
Veroki-Kika
第1話
カキカキ。
シャッシャ。
明るい日差しの差し込む中庭で,わたし・
「お嬢様!お嬢様!」
あれ?なんか今呼ばれた?
なんか聞こえたような…
まぁいいや。
シャッシャ。
えっと,
「そこをどいて!ペルーシャ!」
わたしは庭をテックてくリズムよく歩いていた猫・ペルーシャにどいてのハンドサインをした。
ペルーシャは賢く,わたしのハンドサインを見て中庭の隅に移動した。
「ふふ。賢い」
わたしはクスッと笑って続きを描き始めた。
シャッシャ。
静かな中庭に,シャーペンを動かす音だけが響く。
よし。あとはここを…
バン‼︎
「うわぁっ!」
いきなり開いたドアにびっくりして,わたしはひっくり返りそうになった。
ギリギリ耐えて,ドアの方を見る。
そこには,フリフリのメイド服を揺らしながら,肩で息をしているメイドさん。
しぃさんだ。
「あっ。しぃさん。どうしたんですか?」
「プリンセス!探したんですよ!国王さまがお呼びですので,急いで玉座のまへ」
そう早口で捲し立てると,しぃさんは颯爽と中庭を出ていった。
「…今の何?」
というわけでやってきました玉座のま。
周りには偉い大人が少々。あれ?あそこにいるの…
「
やっぱり顔!わたしの幼馴染の奏だ!
あれ?でも今日は少し顔つきが違うような…
「真美」
「あっ!はい!」
お父さまに名前を呼ばれて,わたしはかしこまってお辞儀をした。
あれ?なんかお父さまも深刻そうな顔をしてる。
「真美。お前に頼みたいことがある」
「ん?」
頼みたいこと?わたしに?
「奏とコンビを組み,闇1族に神の子の生まれ変わりを守ってくれ」
「???」
何を言っているの?神の子の生まれ変わり?闇1族?
「奏。説明を」
お父さまに呼ばれて,奏は一歩前に出た。
「真美。お前,神の子がわかるか」
「わからない」
「神のことは,昔,不思議な力を持ったものがいた。その不思議な力…star dropを持つもののことを神の子だ」
「どんな力なの?」
「簡単にいうと,その地にとって,都合の良いことがたくさん起きるようになる。
なるほど…理解…できる気がする…?
「そして今,その神の子と同じ力を持つものが,ここ。
「どういうこと?その神の子とおんなじ力を持つものが
わたしがそう聞くと,奏もお父さまも,みんな下を向いちゃった。
「真美」
いつもの奏とは思えないほど低くて沈んだ声。
「
「希望が…
その言葉に,奏は頷いた。
「それってとっても大変じゃん!どうすればいいの!?」
「それを真美。お前がやるんだ」
「わたしが…?」
お父様も奏も頷く。わたしは掠れた声が出た。
わたしが?なんで?
「もし,同じことが起こった場合・
そんな…わたしにそんなことができるの?
「時間がないんだ。真美。敵の総大将はもう,お前の通う学校にいる可能性が高いんだ。闇野1族が1番厄介な相手はお前。
その言葉に,わたしは頭が殴られたようなショックだった。
「本当なんだ。しかもstar dropを持つものも,お前の学校にいるんだ」
嫌だよ。誰か嘘って言って。
「そんな。嘘でしょ?みんなして,わたしを騙そうとしているの?」
「真美。これは事実だ」
だめだ。これは,現実。夢じゃない。
「真美。大丈夫だ。俺もいる」
怖いよ。こんなの。
でも,わたしがしないと,みんなの笑顔が消えちゃうの?
希望も,
「真美。これに,お前のそのペンで何か絵を描いてくいれないか?」
「絵?」
いきなり奏がかけてきた言葉に,わたしは驚いて目を丸くした。
いつの間にか,わたしの手にはペン。
奏から,紙を渡される。
「なんでもいいの?」
奏が頷いたのを確認して,わたしはいつの間にかそこにあったルーズリーフを下敷きに,絵を描いていく。
「できた」
「真美。こう叫んで。
「
そうわたしが叫ぶと,絵が光り出した。
「どういうこと?」
わたしは目を見張る。だって煙の中から出てきたのは…
「これは,猫?」
ペルーシャにそっくりな猫だ…
「すごい…伝説は,本当だったんだ…」
「伝説?どういうこと?」
わたしはとりあえず,とルーズリーフに紙を閉じた。
すると…
ぼん!
煙の音が聞こえて,猫が消えていた…
「えぇぇぇぇっ⁉︎」
「真美…これで戦うんだ…これで闇1族と戦う」
「1人で?」
その言葉を口に出すと,奏は首を振った…
「いや…俺もいる。俺はお前のパートナーだ」
「パートナー?」
「ああ」
信用している奏のまっすぐな瞳。わたしは,これで奏の背中に追いつきたい。
この瞳に,答えたい!
「やる!ちょっと怖いけど…!」
そういうと,奏はにっこり笑ってわたしと手を繋いだ。
わたしは奏は用事があるからと言われ,1人で自分の部屋に帰った…
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