第6話 料理教室

今日は放課後に先輩達に料理を教えに家庭科室に向かった

もちろん早乙女さんも付いてきてる

家庭科室に着いたら、もう先輩二人とも準備をしていた


「あ、こんにちは!Relnで言ってた愛華ちゃんの友達かな?」


「はい!早乙女紅葉です☆」


「紅葉ちゃんだね、私は忍です、こっちは麗奈、二人とも名前でいいからね」


「はい!忍先輩!麗奈先輩!二人とも、噂で美人って聞いてますよ〜!」


「えぇそうなの?恥ずかしいなぁ」


流石コミュ力のお化け、もう打ち解けている

でもこのまえ、噂で厳しい人とか言ってなかったかな?

咄嗟に思いついたのだろうか、流石陽キャだ


「やあ、神楽さん。私も参加することに許可してくれて感謝するよ」


「あ、いえ、おかまいなく」


「私も料理は苦手なんだ、色々教えてくれると助かる」


麗奈先輩は、なんだか堅苦しい言い方をする

生真面目な人なのはこの前感じてたけど

後輩相手にここまでかしこまる態度取られるとやりずらいな


「えっと……何作ります?」


「この前の卵焼きはどうかな?愛華ちゃんの卵焼き凄く美味しかったし」


「じゃあそうしましょうか」


私は棚からフライパンや卵の用意をしてる間

どこからか殺気を感じて振り向く

ドアの向こう側に雪乃が見えた


「お姉ちゃん……雪乃も行くって言ったよね…?」


「そ、そうだったね、ごめん」


「仲良さそう……ずるい……」


「えと……雪乃も手伝ってくれる?」


こくりと頷いてテコテコと歩いて棚に向かう

その途中に早乙女さんが「あれ?無口ちゃんのトプ画にいた子だ!」と絡みに行くが

そっぽ向いて無視をする


「あ、あれ?」


「ごめん、雪乃人見知りだから……」


「そうなんだ!大丈夫、あたし、仲良くなるのは上手いから!」


早乙女さんはそう言ってすぐ雪乃に絡みに行くが

全てフル無視された上

「お姉ちゃんに近づく奴とは仲良くなりません」とまで言ってきた


「あたし、もしかして嫌われてる……?」


病んじゃったよ、さっきの笑顔どこいった

そう思ってると忍先輩が雪乃に目線を合わせて話しかける


「お姉ちゃんのことが大好きなんだね」


「はい、なのでお姉ちゃんにまとわりつく虫(あなたたち)を邪魔しに来ました」


「そっか、じゃあ私達も頑張らないとね」


「……何故そうなるのですか」


そこまで会話すると、麗奈先輩も会話に入ってきた


「雪乃さんに、私達はお姉ちゃんを取るような悪者じゃないって教えないと。ということだよな?」


「流石麗奈。分かってるね」


「……せいぜい頑張ってください」


す、凄い…私ですら、雪乃の行動は止められないのに

雪乃が卵焼きとは関係ない材料を片付け始めた

邪魔するより、正義感の方が勝ったみたいだ


「ずごいでずねぜんばいだぢ」


「わわ、紅葉ちゃんすごい顔だよ!?」

「とりあえず涙を拭いてくれ」


そんなに泣くって相当ショックだったのか…?

と思ってると雪乃は私に抱きついてきた


「意外と良い人でムカつく」


「この人たちなら仲良くしても大丈夫でしょ」


「でもお姉ちゃんは……雪乃の物だし……それにお姉ちゃんは友達は……」


「………大丈夫、もう昔の事だから。心配してくれてありがとう雪乃」


「……うん」


「さて!料理を始めるか!」


麗奈先輩の掛け声でようやく料理が開始

3人にまとめて作り方を教えていく


「じゃあそのフライパン温めといて」


早乙女さんに声をかけると一瞬キョトンとした後フライパンをもって電子レンジに向かって歩こうとしていた


「ちょちょ、なにしてんの」


「え?だって温めろって」


「えぇ……あーーーえっと……コンロで中火で温めて」


「あ、そっちか!おけ!」


幸先不安すぎる……結構初歩的なことも教えないといけないみたいだ

私はフライパンに油を引き

麗奈先輩には塩を掛けたあとの卵をかき混ぜさせ

忍先輩はその卵に調味料を入れる

私は塩より醤油派なので小さじを忍先輩に渡す


「塩の卵焼きしか食べたことないから少し楽しみだな」


「きっと完成した時はびっくりだと思うよ、ね、愛華ちゃん」


「そうですかね……?」


後は掻き混ぜた卵を少しづつフライパンに広げて

その都度巻けばいいだけだ


「うわー!全然巻けないよ〜!」


「もうちょっと加減抑えて、ほら、こんな感じ」


「(無口ちゃんの顔近い…)なななるほど!」


「なんで更に手がぶれるの……?」


「こ、こんな感じだろうか?」


「そうです、麗奈先輩は器用ですね」


「そ、そうか?…へへ」


「麗奈、顔緩みすぎ」


「緩んでない!!!」


「……お姉ちゃん、よく女たらしって言われない?」


「初めて言われた、あとその持ってる包丁仕舞いなさい、怖い」


わちゃわちゃした会話が続き

少し、楽しさを感じている自分がいる

長らく1人で過ごしてきたけど

こういうのも悪くない

そんな事考えてたらようやく完成した


「いっただっきまーーす!うんまーい!!」

「これは……凄いな…」

「やっぱり美味しい」


「よかったね、お姉ちゃん」


「……うん」


料理教室は大成功に終わった

今度また教えて欲しいと皆に言われ

満更でもなかった私は

「じゃあまた今度」とだけ伝えた

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