第4話 買い物デート
「無口ちゃん♪一緒に帰ろ〜♪」
この前同じ方向だと分かってから
早乙女さんは帰り私を誘うようになった
他にも友達いるだろうに……
「別にいいけど、寄り道するよ」
「え、なにするの?」
これは…内容を伝えて良いものなのか
……嘘をつくのもダメだな
「先輩に料理を教えるんだ。そのための食材を買う」
「何それ面白そう!!!」
はい、言うと思った
「あなたの次の台詞は、『あたしもそれ行きたい!』という」
「え、なんで分かったの!?ていうかそれあたしの真似?似てなぁい( ・̆⤙・̆ )」
特徴は捉えてたはずだけど……
まあいいや、「家庭科室に連れてきていいか、先輩に聞いてみるよ」
私はそう言って無意識にReinを開くと
「Reinやってるの!?」と食いついてきた
しまった、早乙女さんの前では見せないようにしてたのに
予想通り、「あたしとも交換しよーよ!」と言ってきて
私は渋々交換する
さらに予想通り、私のトプ画に食いつく
「何この犬可愛い〜〜♡」
「黒まろ眉柴犬のクロマル。私の家で飼ってるんだ。それを抱っこしてるのは妹」
「え、めっちゃ抱っこしたいんだけど!!!」
「まあ機会があったらね。あ、先輩オーケーだってさ。じゃあスーパー行こうか」
「うん!じゃあレッツゴー♪」
(よくよく考えたらこれ買い物デートじゃない……!?)
「どうかしたの?」
「へっ!?なんでもないよ!」
自分からついていくと言ったのに
どこかよそよそしい態度をとる早乙女さん
まあ、放置しとけばすぐにお喋りマシーンになるだろう
「ね、ねえねえ!スーパーより、デパートの方が近いよ!」
「デパート?」
「うん!最近出来たんだ!知らない?」
「食品以外で出かけること少ないから……」
「じゃあそっちいこーよ!色々紹介してあげる!」
半ば強引に手を引っ張られてついたデパート
広さが大きすぎてどこが何やらよく分からない
キョロキョロしてると、早乙女さんが「あ!あれ可愛い!」と叫んでどこかへ行ってしまう
ついて行くと、フリフリのワンピースを持っていた
服屋か……長らく行ってなかったな
「ね、これあたしに似合うと思わない!?」
「……まあこういうの似合いそうだよね」
「だよねだよね!これ試着してきていい?」
「別にいいけど」
「やったー!」と早乙女さんはすぐに試着室に入る
その間、周りの服を見るけど
どれも可愛い服で、私には似合いそうにない
……これ、早乙女さんに似合いそう
「どうかな?」
「似合うと思うよ」
「ん〜反応悪め?」
「それは普段からでしょ、これ、ちょっと着てみてくれない?」
「え?無口ちゃんが選んでくれたの?着る着る!」
…よくもまあ、ずっとハイテンション続けられるな
陽キャは苦手だけど、早乙女さんは優しく接してくれるから
無意識に私も早乙女さんのために何かしようとしてしまう
「これ、めっちゃ可愛いね!どうかな?」
「やっぱりそれも可愛いと思う」
「そ、そう?えへへ」
「どうかした?」
「なんでもないよ!これ、買っちゃおうかな!」
「良いと思うよ」
私の良いと思うよ、のおの部分でシャ!とカーテンを締められる
めちゃくちゃ勢い良かったけど、本当に気に入ってくれたのだろうか
と思ってると試着室で何やら呟いてる声が聞こえた
「それも、ってことはさっきのも可愛いって思ってくれてたってことだよね…もう……ずるいよ」
「ん?何か言った?」
「わひゃあ!盗み聞き禁止!!!」
怒られてしまった……
たまに変な挙動見せるよな……なんなんだろう
それからしばらく待って会計まで済ませた早乙女さんが帰ってくる
「次どこ行こっか、クレープ?100円ショップもあるよ!」
「……私の目的忘れてない?」
「大丈夫大丈夫!ちょっとだけ、ね?お願〜い」
私は早乙女さんのおねだりを無視して
食材コーナーに行こうとするが
強引に手を握られて足止めされる
「お願いお願いお願い!」と言われ
無理だと悟った私はため息をついた
「……もう、好きなとこ行けば?」
「やった〜!!!」
食材は無事買えたけど
結局その日は2時間は帰してくれなかった
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