オータムアップル栽培開始と秋風を感じて

ラルクから手に入れたオータムアップルの苗を、僕は丁寧に畑の一角に植えることにした。秋の訪れを感じさせるひんやりとした風が吹き抜け、空は澄み渡り、どこか穏やかな気持ちが広がっていく。


オータムアップルは、秋の初めに植え付けを行うと、冬の手前に小さな実をつけ、翌年の秋に甘みが増して収穫ができるらしい。ラルクの話では、この果物は甘酸っぱくて、特に村の収穫祭では人気のある品とのことだ。僕もそんな果実を収穫し、みんなにふるまえる日を楽しみに思いながら、一つひとつ苗をしっかりと土に根付かせていく。


植え終えた後、僕は秋風に揺れる苗を眺め、自然と深呼吸した。まだ小さな苗が風に応じて揺れ動く様子は、まるでこれから育つ季節の移ろいを感じているかのようだ。周囲には他の作物も実り始めていて、今年も豊かな収穫が期待できそうだ。


「来年の今頃には、きっとこの畑にたわわなオータムアップルが実っているはずだ」


そう思うと、胸の奥からじんわりとした喜びが込み上げてきた。これまで育てたことのない新しい果物を手に入れ、挑戦することは僕にとって大きな楽しみだし、日々の生活に少しのスパイスを加えてくれるものでもある。


畑作業を終えて小屋に戻ると、どこかから焚火の香りが漂ってきた。秋の訪れと共に村人たちは冬支度を始め、貯蔵用の野菜や果物を干したり、保存食の準備をしたりする忙しい季節だ。僕もその手伝いをしながら、畑での作業を思い返していた。


夕暮れには、茜色に染まった空が村を包み込み、鳥たちが一斉に帰りを急ぐ姿が見られた。秋の暮れなずむ風景は、どこか寂しげでありながらも、次に訪れる季節への希望を感じさせる。


「早くこの苗が育って、たくさんの実をつけるといいな」


そんな思いを胸に、僕は畑を後にし、夜の支度を整えた。オータムアップルがしっかりと根付き、豊かな実りを迎えるその日を夢見ながら、秋の夜長を楽しむことにした。


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